百貨店はこのまま消えてしまうのか 「いや、復活できる」これだけの理由:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
百貨店が苦しんでいる。新型コロナに伴う行動規制が緩和されたことによって、どん底からは浮上しているわけだが、楽観できる状況ではない。百貨店が生き残るためには、どういった手を打てばいいのだろうか。幅広い層を狙うのではなく……。
「ああ、いよいよお別れか……」と寂しさを感じている人も多いだろう。1月31日をもって、渋谷の東急百貨店本店が56年の歴史を閉じるからだ。
ただ、ゆっくり感傷に浸ってもいられない。ほどなくするとお次は、そごう・西武の全株式が、セブン&アイ・ホールディングスから米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループへと譲渡されてしまう。
ご存じのように、百貨店はピンチだ。日本百貨店協会によれば、加盟する百貨店の2022年の売上高は4兆9812億円。11年度の約6兆1530億円から2兆円近く減少しており、この10年店舗数も59店舗減っている。(参照リンク、PDF)
もちろん、そごう・西武のどこかの店舗がすぐに閉店するという話ではない。ただ、そごう・西武が発足したときには全国に28店舗あったが、現在は10店舗まで減少しているのも事実だ。企業価値向上をシビアに目指す米ファンドが経営の実権を握れば、さらなる合理化が進められて店舗が減少していくことは容易に想像できよう。
実際、一部の報道によれば、西武池袋本店の低階層(1〜4階)には現在、ルイ・ヴィトンやエルメスが軒を並べているのだが、そこにヨドバシカメラがゴソッと入るという話もある。どちらにせよ、外資ファンドへの売却によってこれまでの「西武百貨店」の姿が大きく変わってしまう可能性はかなり高いのだ。
そう聞くと、「このままいけば近い将来、百貨店って消滅しちゃうんじゃないの?」と感じる人も多いだろう。もちろん、当の百貨店業界はそんな未来は全否定している。日本百貨店協会の村田善郎会長(高島屋社長)は1月13日の新年賀詞交換会でこのように気を吐いた。
「百貨店は絶対に残していく。スーパーブランドからコロッケまで同じ館にあるビジネスモデルは日本ならではだ。これを次世代に発展させていきたい」
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