非現実的な規制で庶民のアシが消滅する:池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/6 ページ)
法律でBEVの販売を義務付けられている今、Bセグメントのクルマは今後どうなるのか。自動車メーカー各社の取り組みは。
セグメント分類を日本に定着させた人物
このセグメントによる自動車クラス分類法は、基本的にはイタリア発祥のものだ。日本の混乱状態を解決する何かもっと分かりやすい分類法はないものか、そう考えたのは、当時自動車雑誌『CG』編集部にいたとある人だ。
筆者は後に同僚として別の雑誌で一緒に仕事をして、その分類を使った理由を直接聞いた。名前を出してもいいのだが、本人に聞かずに勝手に書くのもはばかられるので、まあここでは「職人S」と言っておく。
職人Sいわく、最初は言語的になじみのある英国から当たってみたが、当時の英国は「City car」「Super mini」「Small family」「Large family」「Executive」「Luxury saloon」という分け方。今でも英国英語の自動車記事を見ていると、この昔の分類がたまに出てくるし、上記の用語が英国式セグメント分類だと知らない翻訳者が訳した日本の記事にも、微妙に扱いかねた日本語表記で「スーパーミニ」などと訳されることがあって趣深い。
各国表記を比較した結果、イタリアで使われていたアルファベットを使うセグメント表記が最も分かりすいと彼は考え、以後20年かけてセグメント分類を日本に定着させた。
という来し方の話をしたので、以下、現状の各クラスを代表するグローバルカーと日本車をざっと並べてみる。なお、セグメントというのは、例えば「フォルクスワーゲン・ゴルフ」のようなヒットモデルが登場すればライバル社は当然、それにぶつけた商品を出すので、そこに自然発生的にできる競合車の塊であり、別にその枠組みを無視したクルマを出してはいけないルールはどこにもない。
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