処理水問題、中国からの観光客にどう影響? 「化粧品」なども不買対象に:現地の反応は(3/3 ページ)
インバウンド需要はコロナ前に迫る盛り上がりを見せている。一方で、中国からの訪日客は大きな変動が続く。処理水放出の決定に対し、中国側が猛反発。すでに日本産の水産物の輸入を全面的に停止している。今後のインバウンド市場はどうなるのか。現時点の最新状況をお伝えする。
不動産バブル崩壊で「旅行控え」起きる可能性
22年12月に「ゼロコロナ政策」に反発する国内デモがあった中で、中国国内には相当の鬱憤(うっぷん)がたまっている。中国政府は国民の不満の矛先が当局に向かないよう、慎重にならざるを得ないのだ。
もう一つ考慮すべき要素として、中国の不動産大手「恒大集団」の破産に伴う、中国不動産バブルの崩壊リスクもある。
恒大集団はかつて、中国国内で2番目に大きい不動産開発業者として知られていたが、資金繰りに行き詰まり、今回破産法の適用を申請するに至った。これにより、中国国内の不動産会社や関連企業の間で緊張感が高まっている。将来への不安から消費より貯蓄を優先する傾向が強まっていくとの見方もあり、旅行を控える動きが広まる可能性も否定できない。
では、中国以外のインバウンドへの影響はどうだろうか。
処理水の海洋放出については、例えば隣国である韓国政府は「科学的に問題はない」と一定の理解を示している。IAEAも承認していることから、日本の周辺地域以外、例えば欧米豪などから批判を受けることも少なそうだ。
ここからの訪日客の増加は、飛行機や船といった「入口」がどれだけ増えるかに左右される。国内外の各航空会社から9月以降の増便・復便、新規就航予定が発表されている。加えて成田、関空、福岡など空港のリノベーション工事も予定されており、滑走路の整備や利便性向上に伴い、外国人観光客の受け皿が整うことが期待される。
最大市場であった中国に頼らずとも、コロナ前の8割近くにまで回復したインバウンド市場。今後も韓国や台湾などの重要市場を中心として、日本の経済復興への貢献に期待がかかる。
Digital Business Days -SaaS EXPO- 2023 Summer開催のお知らせ
【開催期間】2023年8月22日(火)〜9月10日(日)
【視聴】無料
【視聴方法】こちらより事前登録
【本記事読者へのおすすめ講演】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「中国版リーマンショック」の再来か? 恒大集団破産、日本への影響は
恒大集団が破綻した。同社の負債総額は48兆円に膨らみ、米国破産法の申請に至った。思い出されるのは、リーマンショック級の世界的な金融危機の再来だ。日本への影響はどうなるのか。また、世界的な金融危機は本当に起きるのか。
1人35万円の支出――激増する中国人観光客、コロナ前より大金使うワケ
インバウンド観光客が爆増している。中国人の団体旅行解禁も発表され、さらなる増加が予想される。中国人観光客における最新のデータを参照すると、コロナ前には見られなかった新たな消費トレンドが浮上した。
中国製BEVは今後どうなるか 避けられない現実
深刻なバブル崩壊を迎えている中国では、2022年にBEVへの補助金が終了した。今後BEVを生産するメーカーの行方は。
中国人が最も行きたい国 3位「シンガポール」、2位「ロシア」、1位は?
中国人はどの国に行きたいと思っているのだろうか。調査したところ……。
インバウンド需要復活 空港や観光地のローソンでどんな商品が爆売れしているのか?
インバウンド需要が本格的に復活している。では、コンビニではどんな商品が売れているのか。ローソンが開示した情報から見えてきたものとは?


