損保ジャパンとテレビ局はなぜ似ているのか 「ヤバい取引先」をかばう会社の特徴:スピン経済の歩き方(2/7 ページ)
テレビ局とジャニーズ事務所の「もたれあい」に厳しい批判が寄せられている。どういうことかというと……。
結果を出すなら何をしてもいい
「いやいや、それはさすがに苦しいこじつけだろ」という声が聞こえてきそうだが、個人的にはこれらの指摘はかなり的を射ているのではないかと思っている。
テレビ局各社や損保ジャパンはともに、ヤバい取引先の不正などを把握しておきながら見て見ぬふりをする企業に共通している、いくつかの特徴が散見されるからだ。
それは一言で言ってしまうと、「閉鎖的なマーケットの中で限られた競合と数字を奪い合っている」という特徴だ。
ご存じのように、テレビ局は免許制で新規参入が許されぬ「ムラ社会」だ。現在はネットフリックスなどが広がってきたので電波ムラのガバナンスも崩壊寸前だが、ジャニー喜多川氏が数百人の未成年者たちに性加害を加えていた時代は、「テレビ」にまつわるエンターテインメントの権益は、日本テレビ、TBS、テレビ朝日、フジテレビ、テレビ東京という民法キー局が独占していた。
一方、損保ジャパンも変わらない。損害保険はMS&ADグループ、東京海上グループ、SOMPOグループという3メガ損保のみでシェアが8割以上に達する寡占市場だ。
「原発ムラ」の政官民癒着構造を見ても分かるように、閉鎖的なムラ社会の中にいる大企業は、モラルがぶっ壊れやすい。
新規参入が阻(はば)まれている“ぬるま湯”の中で、お決まりのプレイヤー同士で限られたパイの奪い合いをするので、既得権益をどうしゃぶり尽くすかということしか頭になく、イノベーティブな発想が育たない。さりとて、競争には勝ちたいということで、「競合から奪ってでも数字をあげる」という過度な成果至上主義に取りつかれる。つまり、閉ざされた世界でのカニバリ的なサバイバルによって、「結果を出すなら何をしてもいい」というモラルハザードが起きてしまうのだ。
ただ、そうは言っても、自分たちは「社会的責任」を負っている大企業なので、表向きはそんなアウトロー的なことは口が裂けても言えない。そこで「外注」をする。自分たちは安全地帯にいながら「結果を出すならば何でもするヤバい取引先」をフル活用するのだ。
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