「組織にコミットせよ」は古い? 採用でしくじる人事トップが見落としていること:人的資本経営とCHROの役割(1)(1/2 ページ)
採用が難しい中「いかに人材を確保していくか」は人事トップにとって大きな課題となりつつあります。そんな中、採用で失敗しないためには何を意識すべきなのでしょうか。よくあるしくじりから、具体的な解決策まで解説します。
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近年、4大経営資源と呼ばれる「ヒト・モノ・カネ・情報」のうち「ヒト」の重要度が高まっています。
労働力不足により人材を確保する難易度が上がっていることがその大きな一因です。企業はこれまでとは違い優位に立って採用することが難しくなり、企業と求職者が限りなく対等な立場になってきました。
このような状況でいかに人材を確保し、限られたリソースをどのように活用していくかが課題になっています。そこで注目されはじめたのが「人的資本経営」です。並行して人的資本開示の義務化も進む中、これを実現するためにCHRO(最高人事責任者)のポジションを設置する企業も増えてきました。
本連載ではどのようにして人的資本経営を実現していくのか、そしてその中におけるCHROの役割について解説します。
第1回である今回のテーマは、採用が難しい中でいかに人材を確保していくかについてです。
よくある失敗──やたらと「組織コミット」を求めてしまう日本企業
時代が大きく変わり従来通りの採用方法ではうまくいかなくなってきた今、採用の在り方も変えていく必要があります。
その中でも、多くの日本企業の課題として挙げられるのが「組織コミット」を求めてしまうことです。これは少しずつ導入され始めた「ジョブ型雇用」とは反対の考え方です。
ジョブ型雇用はそのポジションに対して、どれだけ貢献できるかが重視されます。しかし、日本の多くの企業はジョブ型の考え方が苦手です。「何をするかよりも誰とやるかが大事」というように、組織・カルチャーにコミットすることを先に求めてしまうのです。
もちろん求職者がジョブ型か組織・カルチャーのどちらを重視しているかによっても異なりますが、ジョブ型的な働き方を求めている人に対して組織コミットを強く求めてしまうと、かみ合わなくなってしまうでしょう。
第一歩は「相手をより理解する」こと
このように「求職者が何を求めているのか」を見極めることは非常に重要です。そのために大切なのが、相手をより理解することです。
しかし、何を考えて何を求めているのかを把握することは簡単ではありません。ある人にとってメリットになることも、別の人にとってはデメリットと捉えられることもあるでしょう。
価値観が多様化している中、一人一人が求めているものをしっかりと理解し、それに対して企業側は何を提供できるのかということを組み立てていくことが必要です。
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