沖縄・名護は「素通り観光」をどう克服? 「新テーマパーク計画」ともう一つの秘策:”やんばる”の取り組みを追う(1/5 ページ)
沖縄県名護市では、スマートシティ化を推進する上での基本計画となる「名護モデルマスタープラン」を22年度に策定。23年1月には一般社団法人「名護スマートシティ推進協議会」(以下、推進協議会)が設立され、同年5月には市と包括連携協定を結び、具体的な取り組み内容の検討が始まっている。その具体的な中身とは――。
沖縄県本島北部の中核都市、名護市。県内全41市町村の中で竹富町、石垣市に次いで3番目に面積が広く、縦に細長い形状をした本島で東海岸と西海岸に接している数少ない市町村の一つだ。豊かな自然が残り、沖縄の方言で「やんばる」(地域の明確な定義はない)との愛称で親しまれる北部地域の「玄関口」とも称される。
市内には西海岸を中心に美しいビーチも並び、観光資源が豊富だ。ただ、長らく衰退が指摘される中心市街地に立ち寄る人は減少傾向にあり、観光客も北上した本部町にある「沖縄美ら海水族館」など人気の観光地に向かって名護市を通過してしまう「素通り観光」が積年の課題となっている。
一方、2021年に北部地域が国連教育科学文化機構(ユネスコ)の世界自然遺産に登録され、25年前後には名護市と今帰仁村(なきじんそん)にまたがるエリアに新たなテーマパークが開業する予定もある。名護を含めた周辺地域の人の流れが劇的に変わろうとしている。
その流れを追い風に、名護市は最新技術を活用してさまざまな課題解決を図る「スマートシティ構想」を発表した。22年度には基本計画となる「名護モデルマスタープラン」を策定。23年1月には一般社団法人「名護スマートシティ推進協議会」(以下、推進協議会)が設立され、同年5月には市と包括連携協定を結ぶなど、具体的な取り組みの検討が始まっている。
小さな離島県にある人口約6万5000人の地方都市が、スマートシティ化で描く未来の姿とは――。その取り組みを取材した。
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