パインアメの「シロップメーカー」なぜ開発? バズる商品の裏に“種まき”戦略:経済の「雑学」(3/3 ページ)
ライソンが発売した「パインアメ 魔法のシロップメーカー」が話題になっている。「パインアメ」を溶かしてシロップに調理するための家電だ。どのように商品が生まれたのか。戦略について聞いた。
新興メーカーとして成長するために
ライソンがこのようなユニークな商品を企画する背景には、単なる話題づくりにはとどまらない戦略がある。同社は2018年、アミューズメント施設の景品を企画販売する企業の会社分割に伴い、自社ブランド製品の企画・開発・販売を手掛ける一企業として新たなスタートを切った。
会社分割の前もホットサンドメーカーやたこ焼き器など、単機能で低価格な自社商品を強みとしてきた。しかし「今後、新しい家電メーカーとして成長していくためには、まずはブランド名を知ってもらうことが必要」(三上氏)という考えから、「他の企業が出さない商品」に挑むようになった。
その第1弾が、カップ焼きそば「ペヤング」の専用ホットプレートだ。他にも、直径約10センチのたこ焼きがつくれる「ギガたこ焼き器」や、58秒でトーストを焼ける「秒速トースター」、家の中で回転ずしを楽しめる「回転寿司トレイン」などを発売してきた。
「話題性がある商品を出すことでライソンを知ってもらう。それは、営業の“種まき”になります。営業担当者が、ホットサンドメーカーやケトルなど他の商品の商談をしやすいように、戦略的に話題づくりをしています」(三上氏)。その一環で、他の企業とのコラボレーションも実施しているという。
今後もその方針を維持しながら、新しいジャンルの商品開発にも取り組んでいく。近年はコロナ禍による巣ごもり需要の拡大で、同社の調理家電の売れ行きも非常に好調だったが、現在はそれも落ち着いている。
「今後、どういった話題を提供していくかが課題。新しいアプローチで、これまでと違うジャンルの商品開発にも取り組んでいます。みんなを驚かせるようなものを発表していけたら」(三上氏)。時代の変化を見据えながら、ブランドの成長に挑んでいる。
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