連載
ウォルマートが「広告代理店」になる日 小売りに頼らない未来の稼ぎ方(4/4 ページ)
売上総利益率は70〜80%、ロスも生じず、返品される可能性もゼロ――。ウォルマートが将来を約束された、最強の売れ筋商品とは。
店舗数を減らしても利益を確保できる理由
ウォルマート・スーパーセンターに行くと、セルフレジが有人レジ以上の数になっているのはそのためでもあります。ロサンゼルス近郊のピコリベラ店では、有人レジ5台、大型セルフレジ6台、小型セルフレジ6台、ウォルマート・プラス会員用セルフレジ2台となるレジのセットを左右の入り口に2セット配置しています。
合計38台のレジのうちセルフが28台になっています。有人レジは10台あるものの、平日では実際に稼働しているのは2〜4台程度となっています。
セルフレジのスクリーン、テレビ売り場に置かれているTVスクリーン、さらに商品陳列棚にあるデジタルサイネージを含めれば、コマーシャルを流せるデジタルスクリーンは17万台にも及ぶと米経済ニュース大手CNBCは伝えています。これらのデジタルスクリーンを活用することで、30秒のCMスポットをメーカーやサプライヤーに売れるのです。
ところでウォルマートは第1四半期(2〜4月期)に続いて第2四半期(5〜7月期)でも店舗数を減らしていました。将来的には店舗数を減らしても、広告代理店事業がウォルマートの利益をちゃんと確保できることになるのです。この流れは日本にも必ずやってきます。Eコマースを拡大し、オムニチャネル化する大手チェーンストアが広告代理店としても機能するのです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
巨大な店舗で「ダラダラ仕事」 それでも米国小売業が成長できるワケ
なぜ、巨大な店で従業員がダラダラ働いている米国の大手小売業が、キビキビ働いている日本の小売業より生産性が高く成長し続けているのか――長年、小売業のDX支援を手掛けてきた郡司昇氏が解説する。
日本は周回遅れ? ウォルマートを成長させた「データ整備」と「物流改善」の極意
小売業のDXを図る上で在庫管理におけるデータの活用は欠かせない。ウォルマートの事例から、日本の小売業の成長に必要な要素を浮き彫りにする。
米当局、“悪質UI”のアマゾン提訴 ユーザーだます「ダークパターン」なぜ生まれる?
ECサービスなどでユーザーを故意に迷わせたり、誤って購入させたりする「ダークパターン」。6月、米連邦取引委員会がアマゾンを提訴し大きな話題になった。ダークパターンはなぜ生まれるのか。
売り場をムダに歩き回る店員……店舗出荷型ネットスーパーの成功に必要な4つの視点
店舗在庫利用型ネットスーパーの成功に必要な4つの視点〜同じ商品をヤマダさんがピックアップしてサトウさんが品出しする非効率
パン店の試食客が2倍に ユニークな「仕掛け」が小売DXに必要なワケ
人々の好奇心をくすぐる工夫で行動変容を促す「仕掛け」を小売業と組み合わせると、どんな化学反応が起きるのだろうか――。仕掛学の第一人者、松村真宏・大阪大大学院教授と小売業のDXに詳しい郡司昇氏が対談した。
