コクヨの「集合住宅」ってどんなところ? 9月にオープン、ほぼ満室:経済の「雑学」(5/5 ページ)
コクヨは、新事業として集合住宅「ザ・キャンパス フラッツ トゴシ」を東京都・戸越にオープンした。いつかやりたかったことを試せる「プロトタイプする暮らし」がコンセプトだというが、どんな住宅なのか。
コンセプトを曲げずに「ブランド」をつくっていく
オープン直後にほぼ満室と、滑り出しは順調といえるかもしれない。だが、入居者が本当にコンセプトどおりに実践するのか、心地よいコミュニティーが形成されていくのか、高い稼働率を保てるのかなど、長期的に取り組むべきことが多くある。
それらをサポートするのが、コミュニティマネージャーとRA(レジデントアシスタント)の存在だと荒川氏は話した。
「コミュニティマネージャーは1名おり、入居者と会員からのイベント開催にまつわる相談を受け付けています。アイデア出し、告知や集客のサポートなど『やりたいこと』を後押しする存在です。常駐はしていません。
RAは3名いて、いずれも入居者でコクヨの社員です。入居者間のトラブルなどがあった際に、フラットな視点で事実を伝えてもらえたらなと。クレームや困り事は運営を委託している企業が対応する体制ではあるのですが、当事者の主張が食い違うこともありえるので、そういったときにアシストしてもらうような役割です」
このようにして入居者や会員の心地よい暮らしや自己実現をサポートしながら、フラッツのブランドを形成していくことが現状の展望だという。
「ブランドを確立させるために、コンセプトを曲げてはいけないと思います。スタジオ利用に制限を加えるつもりはないのですが、単純に稼働率を上げるための取り組みはしたくないなと。地域の公民館などでまかなえるようなことではなく、コンセプトに沿ってできることをアピールしたいです。
運営主催のイベントでは、ゲストも内容もこだわります。そうやって世界観ができてくれば、コンセプトに共感する人たちが自然と集まる住宅になるだろうと思っています」
賃貸住宅事業では稼働率が第一の指標になることが多いかもしれないが、フラッツトゴシはそれだけを追いかけず、ブランドの形成にも注力する。もちろん継続するには稼働率の向上も重要であり、そこは難しさといえる。
いずれは拠点展開も見据えているという同事業。快適な住空間や挑戦者が集うコミュニティーに加え、価値的なイベント開催が増えれば、ここに住みたいと思う人が増えるはず。スタジオ利用をどう活性化させるかが成功のポイントになる気がした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。
1泊1室66万円! 長崎県の平戸城で、どんな“体験”を提供しているのか
豪華な“城泊”体験に、外国人富裕層が多く訪れている。2021年4月にオープンした長崎県平戸市の「平戸城 CASTLE STAY 懐柔櫓」は、かつて倉庫として使われていた平戸城の懐柔櫓を宿泊施設化。1日1組限定、1組66万円(税込・サービス料別・食事別)で提供している。どんな体験ができるのか。

