宿泊施設への支払い遅延、原因は「システムメンテ」と主張 「Booking.com」運営元が謝罪:国外でも支払い遅延
「Booking.com」経由での宿泊代金が、加盟する宿泊施設に支払われていない件について、運営元は、遅延の原因が決済システムのメンテナンスだったと発表した。宿泊施設への支払い遅延は、国内外で問題となっている。
オンライン宿泊予約サービス「Booking.com」(ブッキングドットコム)経由での宿泊代金が、加盟する宿泊施設に支払われていない件について、運営元は10月10日、遅延の原因が決済システムのメンテナンスだったと発表した。宿泊施設への支払い遅延は、国内外で問題となっており、英国メディアなどが報道している。
運営元は「高レベルのオンライン上の安全性とセキュリティを確保するため」として、加盟店への支払いシステムを刷新したと明らかにした上で、支払いの遅延は新システムのメンテナンス中に生じたと釈明。「大半の支払い作業はすでに再開している」としつつ「予期せぬ技術的な問題が発生し、一部のみのパートナー各社に支払いの遅延が発生している。現在緊急に対応している」と状況を報告した。
運営元は取引企業向けの専用窓口を開設し、対応しており、「パートナーの皆さまからのフィードバックに細心の注意を払い、今後より良いサービスを提供できるよう一意専心していく」としている。
ただ、同様の事例が日本国内で相次いでおり、テレビ朝日は、被害額が数十億円に上る可能性があると報道。被害を受けた宿泊施設のオーナーらが、同サービスの運営元を集団提訴すると報じている。
支払い遅延、国外でも 予約者トラブルも
支払い遅延は日本国内だけでなく、国外でも発生している。英ガーディアンは9月30日付の記事で、ブッキングドットコム側が宿泊施設の経営者に数千ドルの負担をさせていると報じた。中には運営側からの入金が半年間なく、家賃が払えなくなったためにオーナーが別の仕事を掛け持ちし、施設を運営しているケースもあるという。
その他、宿泊施設以外にも、「キャンセル可だった予約がキャンセル不可にすり替わっている」「サポートが嘘をついている」など予約者側へのトラブルも絶えない。
前年度比でトラブル倍増 国民生活センターも注意喚起
ブッキングドットコムはオランダの首都アムステルダムで1996年に創業。43言語に対応、660万件以上の宿泊施設が登録しており、旅行予約サービスとしては世界最大規模を誇る。
同サービスは「楽天トラベル」「じゃらん」などと同様、OTA(Online Travel Agent、オンライン旅行取引事業者)に該当する。国民生活センターによると、OTA経由での予約トラブル件数(2022年度)は4488件。前年度比で倍増しているという。旅行トラブル全体に占めるインターネット予約の割合では、22年度は51.9%と半数以上を占めた。
同センターは「インターネットでの予約は便利だが、『キャンセル料が100%かかる』などの条件が付いている場合がある。日本語表示のサイトでも運営事業者は海外の事業者である場合もある。インターネットで予約する際は、契約内容や、事業者の問い合わせ先を自分自身でしっかり確認して利用しないと、思わぬトラブルにあうことがある」と注意を呼び掛けている。実際、ブッキングドットコムは、本社以外は海外支店の登記をしていないと自社の公式Webサイトに明記している。
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