御堂筋が「シャンゼリゼ」に? 大阪の街並みに“激変”迫る:前編(2/3 ページ)
大規模開発が並行して進む大阪。街並みはこれから、どんな変貌を遂げていくのか――。前編では、大阪市の都心エリアにあたる「大阪駅周辺」「中之島」「御堂筋」「難波」の開発プロジェクトとその特徴を見ていく。
文化の香り高い中之島、一大交通ジャンクションに
古くから大阪市役所、中央公会堂、図書館、公園などが立地し、現在も「文化観光拠点」としての開発が進む中之島。淀川の分流である堂島川と土佐堀川に挟まれた中洲沿いに文化施設やオフィスビルが並ぶさまは「水都・大阪」を象徴する風景でもある。
中之島では、20年に大阪出身の安藤忠雄氏設計による「こども本の森中之島」が、22年に「大阪中之島美術館」が相次いで開館。これに呼応するかたちで、中之島通りの車道を公園化することによって文化地区にふさわしく歩行者空間の整備も進められた。
さらに、公共施設群の西側にあたる中之島四丁目地区では、大阪府と複数の大手化学・製薬会社などが設立した一般財団法人未来医療推進機構と京阪HD・日本生命・関電不動産開発などにより、最先端医療の産業化を目指す複合施設「未来医療国際拠点」の開発が進行している。ここには京都大iPS細胞研究財団の細胞製造施設をはじめとした複数の医療機関・研究機関・オフィスが入居する予定で、今年10月5日には「中之島クロス」(Nakanoshima Qross)という街区名が発表された。
中之島にはJR大阪駅の地下ホーム(うめきた新駅)と、JR難波駅および南海本線の新今宮駅をつなぐ新たな鉄道路線「なにわ筋線」の新駅「中之島駅」が設けられる予定(31年開業)で、中之島駅に近い中之島五丁目地区(リーガロイヤルホテル周辺)でも大型再開発が計画されている。
現在の中之島駅は京阪中之島線の終着駅であり、利用客はそれほど多くないが、この京阪中之島線を臨海部へと延伸する計画もある。これらの全ての鉄道路線が開通した後には、中之島が一大交通ジャンクションとなるため、さらなる開発も見込まれるであろう。
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