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「二流の地」から「流通の覇者」へ イオンが成功した出店戦略とは:流通戦争の生き証人(1/4 ページ)
2022年2月28日、長崎県佐世保市にある総合スーパー「イオン佐世保店」が閉店した。この閉店は、イオングループにとって「ひとつの時代の終焉」を意味するものであった。実は、イオン佐世保店は「ジャスコ」として営業を開始した商店街立地の高層総合スーパーのなかで、2022年時点でも同業態のまま営業を続ける最後の店舗であり、1970年代における流通戦争の生き証人でもあったのだ。
2022年2月28日、長崎県佐世保市にある総合スーパー「イオン佐世保店」が閉店した。
地方における老舗イオンの閉店は何ら珍しいことではない。同日には北海道旭川市の「イオン旭川春光店」(元ニチイ→サティ)も建物の老朽化のために閉店している。
しかし、このイオン佐世保店の閉店は、イオングループにとって「ひとつの時代の終焉(しゅうえん)」を意味するものであった。実は、イオン佐世保店は「ジャスコ」として営業を開始した商店街立地の高層総合スーパーのなかで、2022年時点でも同業態のまま営業を続ける最後の店舗であり、1970年代における流通戦争の生き証人でもあったのだ。
まるでデパート! イオン佐世保店は「ジャスコ最後の商店街型高層スーパー」だった
イオン佐世保店が「ジャスコ佐世保店」として開業したのは1974年6月のこと。運営は福岡ジャスコ(のちの九州ジャスコ→イオン九州)、売場は地下1階・地上8階、店舗面積は1万3363平方メートル。佐世保市の中心商店街「四ヶ町商店街」への出店で、徒歩圏には地場の「玉屋百貨店」や「西沢デパート」(現:アルバ・西沢本店)、総合スーパーの「ユニード佐世保店」(のち「ダイエー佐世保店」、2005年閉店)など多くの競合店がひしめいていた。
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