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「ゆで太郎」の“弟分”「もつ次郎」が、急成長しているワケ:スピン経済の歩き方(2/6 ページ)
立ち食いそばチェーン「江戸切りそば ゆで太郎」の弟的存在の「もつ次郎」が急成長している。店舗が増えているのは併設店が多いからだが、シナジー効果を発揮していて……。
「もつ次郎」が急増している背景
では、なぜこんなにも「もつ次郎」は急激に増えているのかというと、理由は簡単で「併設店」だからだ。
実は「もつ次郎」は、従来の「ゆで太郎」の店舗の中にオープンしている。調理をしている人も同じだし、食べるスペースも同じだし、券売機も同じだ。トップ画面で「ゆで太郎」か「もつ次郎」を選択するだけだ。
つまり、弟の「もつ次郎」が脅威のハイペースで拡大できているのは、兄の「ゆで太郎」内に間借りをさせてもらうというスタイルだからなのだ。
そう聞くと「なんだよ、新業態とかいうけれど単にゆで太郎の中に“もつ煮コーナー”をつくっただけじゃんか」と冷笑する人も多いだろう。ただ、筆者はそんなにバカにできたものではないと考えている。
「ゆで太郎」に「もつ次郎」を併設していくことは、互いの弱点を補い合いながら高いシナジー効果が期待できる。人口減少で競争が激化している立ち食いそば業界で生き残っていくための、理想的な成長戦略なのだ。大きなポイントは以下の3つだ。
(1)「ゆで太郎」にない「ちょい呑み需要」を取り込める
(2)拡大路線を避けながら現場のモチベーションを上げられる
(3)外国人観光客に「日本の伝統的ソウルフード」を訴求できる
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