無印良品が「中国でもうけている」意外なワケ 国内は減益なのに、なぜ?:妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(2/3 ページ)
無印良品の店舗数は、国内よりも海外が上回ります。その中でも利益率が特に高いのが、中国を中心とする東アジア事業です。国内では苦戦が続く中、ゼロコロナ政策転換後の中国ではなぜもうかっているのでしょうか。
営業利益率は10.9% → 8.3% → 0.5% → 9.4% → 6.6% → 5.7%と推移しており、ここ2年ほどは特に収益性の悪化が目立つ状況です。
店舗数は20年2月期の970店舗から、23年8月期には1188店舗まで増加しています。近年は店舗数の増加で売り上げは増加しているものの、収益性は悪化しています。その理由は、主力の国内事業と東アジア事業のセグメント利益の推移から見て取れます。
決算期の変更があった20年8月期を除けば、東アジアは堅調な推移を見せているものの、国内事業が明らかに稼げなくなっています。19年2月期と23年8月期の、国内事業と東アジア事業の業績の変化は以下の通りです。
国内事業
- 売り上げ:2462億円 → 3428億円
- 利益:250億円 → 85億円
- 利益率:10.2% → 2.5%
東アジア事業
- 売り上げ:1223億円 → 1716億円
- 利益:198億円 → 318億円
- 利益率:16.2% → 18.3%
中国事業の好調は円安の好影響もあり、原燃料高や物流費の高騰が続く中、高品質のイメージによって高単価で売れていた中国市場と、国内市場の差が表れていました。東アジア事業は成長しているため、国内事業が回復すれば好調が期待できます。業績回復は国内事業にかかっています。
次に、直近の23年8月期の通期の業績を詳しく見ていきます。
- 売上高:5814.1億円(17.2%増)
- 営業利益:331.3億円(1.1%増)
- 経常利益:361.5億円(2.8%減)
- 純利益:220.5億円(10.2%減)
売り上げと営業利益は増加したものの、経常利益・純利益は減益となっています。
セグメント別の売り上げと原価配布後営業利益の変化を見ていくと
- (1)国内事業:+11.3%(▲12.7%)
- (2)東アジア事業:+23.3%(+30.6%)
- (3)東南アジア・オセアニア事業:+42.9%(+5.9%)
- (4)欧米事業:+32.3%(+9億円で黒字転換)
全事業で増収だったものの、利益面では国内が減益、一方で東アジア事業が大幅増益という状況です。営業利益はわずかに増益でしたが、これは東アジア事業による影響が大きく、国内不振の流れは鮮明です。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
“サウナブーム”終焉か? 「タピオカブーム衰退」とのある共通点
ブームの渦中にあったサウナ市場も、今やその過熱ぶりが冷めつつあるかもしれない。その背景には、消費者の健康観念の変化、経済情勢の影響、そしてブームによる競争の激化が挙げられる。
日高屋が「390円そば」価格を死守したのに、史上最高売上を叩き出したワケ
日高屋を運営するハイデイ日高は過去最高売上を達成するなど絶好調だ。看板メニューである390円の「中華そば」は価格を据え置くなど、値上げが相次ぐ外食業界においては価格転嫁に消極的な部類の企業だが、なぜ好調なのか。
日高屋が「390円そば」価格を死守したのに、史上最高売上を叩き出したワケ
日高屋を運営するハイデイ日高は過去最高売上を達成するなど絶好調だ。看板メニューである390円の「中華そば」は価格を据え置くなど、値上げが相次ぐ外食業界においては価格転嫁に消極的な部類の企業だが、なぜ好調なのか。- ブックオフ、まさかの「V字回復」 本はどんどん売れなくなっているのに、なぜ?


