回転寿司の代名詞「1皿100円」は消えるのか “最後の砦”かっぱ寿司・はま寿司のこれから:両者の共通項とは?(1/3 ページ)
かつては回転寿司の代名詞だった「1皿100円」が姿を消しつつある。一定規模のチェーンで維持するのは、今やかっぱ寿司・はま寿司に限られる。なぜ、両社は高コスト時代でも100円を維持できるのか。そして、今後はどうなるのか。
原材料費・燃料費の高騰が飲食業界に打撃を与えている。回転寿司といえばこれまで「1皿100円」が基本だったが、2022年10月にスシローとくら寿司が値上げ。250店舗以上(※)を展開する回転寿司チェーンで税別とはいえ100円メニューを維持しているのは、かっぱ寿司・はま寿司だけとなった(店舗数:日本ソフト販売調べ・23年7月時点)。
このご時世でも低価格を維持しているのは消費者にとってうれしい限りであるが、両者はいかにして100円を維持できているのだろうか。そしてどのような戦略をとり、今後どのような方針で事業展開をしていくのだろうか。両者の共通点と方針の違いについて比較してみた。
ともに「飲食コングロマリット」の一員
両者は、さまざまな業態店を展開する飲食コングロマリットの傘下に位置している点が共通している。かっぱ寿司はコロワイド傘下であり、はま寿司はすき家などを展開するゼンショーグループに属する。
かっぱ寿司は11年まで業界トップに位置していたが、競合よりも低い原価率で商品を提供していたこともあり、消費者の間で「低価格・低品質」といった印象を持たれて苦戦することに。その後は業績が悪化する中、運営会社のカッパ・クリエイトホールディングス(HD)が14年に牛角などを運営するコロワイドの連結子会社となった。日本ソフト販売の調査によると、23年7月時点で業界4位となる292店舗を展開する。
一方、はま寿司は回転寿司事業への参入を決めたゼンショーHDが02年に設立した。当初の成長は鈍かったが、10〜15年に年間で約60店ペースの新規出店を重ね、16年に全都道府県への出店を達成。18年には国内で500店舗を突破した。ゼンショーグループが持つ仕入・物流面でのスケールメリットを生かして、北海道や沖縄など遠方にも出店できたことが規模拡大の要因ともいわれている。日本ソフト販売によると、23年7月時点で581店舗を展開し、業界2位に位置する。
冒頭の通り、スシローとくら寿司は原材料費などの高騰を受けて値上げへと踏み切ったが、かっぱ寿司・はま寿司は100円皿を維持している。低価格を維持できる理由として、コロワイド・ゼンショーグループの仕入れ力や物流網を生かせる点が考えられるだろう。
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