スパコン「富岳」、計算速度世界4位 2部門で8期連続1位
理化学研究所は富士通製のスーパーコンピュータ「富岳」が計算速度の世界ランキング「TOP 500」で世界4位になったと発表した。富岳は前回2位から2ランクダウンとなったが、2部門では8年連続1位を守った。
理化学研究所は11月14日、富士通製のスーパーコンピュータ「富岳」が計算速度の世界ランキング「TOP 500」で世界4位になったと発表した。1位は米オークリッジ国立研究所の「Frontier」(フロンティア)で、トップ3を米国勢が占めた。富岳は前回2位から2ランクダウンとなったが、2部門では8期連続1位を守った。
TOP 500は世界で最も高速なコンピュータシステムを示すランキングとして1993年以降、年2回発表されている。安定して高速計算できるスパコンを対象にした総合ランキングのため、スパコンそのものの性能を示す世界ランキングとしても用いられることが多い。
一方、ビッグデータの解析などに必要とされる大規模グラフ解析に関する国際的な性能ランキング「Graph500」のBFS(Breadth-First Search)と、産業利用の模擬実験などで用いる際の処理速度に関する世界ランキング「HPCG」(High Performance Conjugate Gradient)の2部門では1位を獲得した。HPCGでは2位に約1.1倍の性能差を付けた。
その他、人工知能(AI)の深層学習で主に用いられる「HPL-MxP」では3位。1位はTOP 500同様、米国製フロンティアが1位だった。
富士通は「富岳の世界最高水準の総合的な性能を示すもの。これまで培ってきた技術を今後も幅広く提供し、高機能な新材料の開発や輸配送の人手不足などの社会課題解決につなげる」としている。
富岳はスパコン「京」の後継機として、理化学研究所と富士通が共同開発。2021年3月に共用を開始した。
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