連載
生成AI開発、富士通の強みは? スパコン「富岳」をどう生かすのか:生成AI 動き始めた企業たち(1/2 ページ)
生成AIはビジネスや社会にどんな変化をもたらすのか。連載「生成AI 動き始めた企業たち」第4回は、スーパーコンピュータ「富岳」を活用し大規模言語モデル(LLM)を開発すると発表した富士通を紹介する。
新連載:生成AI 動き始めた企業たち
生成AIがビジネスを大きく変えようとしている。従来のルールを覆す「ゲームチェンジャー」となり得る新技術に、企業はどう向き合うのか。生成AIの独自開発・活用に名乗りを上げた企業に構想を聞く。
掲載予定
- 日本IBM
- サイバーエージェント
- 日立製作所
- 富士通(本記事)
- NEC
※順不同、今後も追加予定
連載「生成AI 動き始めた企業たち」第4回は、富士通を取り上げる。同社は5月、スーパーコンピュータ「富岳」を活用し、生成AIの基盤となる大規模言語モデル(LLM)を開発すると発表。6月からは、みずほフィナンシャルグループのシステム開発・保守作業を生成AIを活用して改善する実証実験も始めた。富士通のAI技術の強みは何か。回答者は、同社AI倫理ガバナンス室長の荒堀淳一氏、人工知能研究所長の園田俊浩氏、コンピューティング研究所長の中島耕太氏の3人。
ビジネスへの影響 | 自社の強み | 競争優位性 | リスクと対処法 | ルール整備 | |
---|---|---|---|---|---|
日本IBM | 新ビジネスの創出と業務プロセスの大変化が起こる | 顧客の競争優位につながるユースケースに特化したAI | 最先端技術をIBMのオープンプラットフォームに取り込む | 情報漏えいなどを防ぐためにはガバナンス強化が必要 | 顧客向けAIプロジェクトでは社内AI倫理委員会で審査 |
サイバーエージェント | 従来のサービスの性能自体の向上につながる | 独自LLMを用いChatGPTのような対話型AIの開発が可能 | 競争よりも協力して日本独自の生成AIの発展を期待 | データ活用のための法整備を国全体で進める必要がある | 生成AIの業務利用についてガイドラインを策定 |
日立製作所 | 設備保守などを学習させ熟練者の技術伝承も可能になる | 毎年100件超のAIを活用したプロジェクトを推進 | 運用や保守に関する情報を学習した日立独自のLLMを開発 | 情報漏えいを防ぐため「出力内容の吟味」が必要 | 利用の判断基準を定めた業務利用ガイドラインを社内展開 |
富士通 | ホワイトカラーの仕事への影響が大きい | 人の振る舞いや表情を認識するAIなどに強み | 顧客業務に特化した生成AI開発と安心利用できる環境整備 | 社会的リスクにAI倫理影響評価ツールなどの手法を提案 | 従業員にeラーニングの受講を義務付けている |
NEC | 生成AIは「次なる産業革命」の「道具」になる | AI・自然言語分野の豊富な支援実績から培った知見に強み | 生成AIの利活用をフルスタックでサポートできる | 情報の出入力の制御が重要 | 秘密情報の取り扱いなどに着目し社内ルールを制定 |
各社の回答(要約) |
Q. 生成AIはビジネスと社会にどんな変化をもたらすか
関連記事
- IBMが描く「ビジネス×生成AI」の未来像
企業は、生成AIがビジネス活動や社会にどんな変化をもたらすと考えているのか。連載「生成AI 動き始めた企業たち」第1回は法人顧客向けの新基盤「watsonx」(ワトソンエックス)を5月9日発表した米IBMを紹介する。 - 日立が描く「熟練技術も伝承できる生成AI」の未来図
企業は、生成AIがビジネス活動や社会にどんな変化をもたらすと考えているのか。連載「生成AI 動き始めた企業たち」第3回は生成AIを手掛ける専門組織「Generative AIセンター」を設立した日立製作所を紹介する。 - サイバーエージェントが目指す、日本独自の生成AI
連載「生成AI 動き始めた企業たち」第2回は、サイバーエージェントを取り上げる。大規模言語モデル「OpenCALM」(オープンカーム)を5月に発表した同社は、生成AIの利活用にどのような構想を持っているのか。 - ChatGPT導入 横須賀市が「全国で一番乗り」できた納得の理由
全国の自治体に先駆けて業務にChatGPTを取り入れ「生成AI開国の地」を名乗る横須賀市。新たな技術の導入に慎重で、お堅いイメージが付きまとう行政現場で、いかにして新技術の導入を進めたのか。 - オープンハウス、生成AIがオススメ物件を提案 7月から実証開始
オープンハウスグループは、不動産事業において生成AIを活用する実証実験を7月から開始したと発表した。物件提案を自動生成するなどし、業務効率化と顧客満足度の向上を目指す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.