経理業務を実は「会計事務所に委託した方がいい」会社とは? 3つのパターン(2/2 ページ)
経理業務を会計事務所に委託した方がいい会社とは? 白井敬祐氏の著書『経理になった君たちへ』(2022年)を一部抜粋しお届けします。
会計事務所に経理を委託した方がよい会社
一概には言えませんが、次のような会社は、会計事務所に経理業務を委託した方がよいでしょう。
(1)従業員数が10人未満の小規模の会社
例えば10人も従業員がいないような会社で、経理専任の担当者を1人雇う余裕もないような会社です。そのような会社は、事務処理を会計事務所に任せて、社員は営業に専念して最初は売り上げを伸ばしましょう。
(2)経理担当者が1人しかいないような会社
俗にいう「ひとり経理」の会社も、会計事務所に委託すべきでしょう。人間なのでどうしてもミスはしますが、チェックしてくれる人がいれば最小限に防げます。またその人がいなくなってしまうと経理機能が止まってしまうというリスクもあります。
(3)社内に会計や税務の専門家がいない会社
会社規模が小さいと、社内に会計や税務の専門家がいない場合も多いでしょう。自社で行うと正しくない決算書を作成したり、税金の申告を誤ってしまったりする可能性が高く、また資金管理や経営状況の分析もできていないケースが多いです。このような場合も会計事務所のプロからアドバイスをもらうべきでしょう。
つまり、企業規模が小さければ小さいほど会計事務所への委託のメリットは大きく、会社規模が大きくなり人員に余裕が出てくれば経理機能を内製化して管理部門を強化し、経営戦略の立案などに役立てるという道を選ぶことになるでしょう。
著者プロフィール
白井敬祐
公認会計士。2011年に公認会計士試験合格後、清和監査法人で監査業務に従事した後、新日本有限責任監査法人及び有限責任監査法人トーマツで IFRSアドバイザリー業務や研修講師業務に従事。その後、株式会社リクルートホール ディングスで経理部に所属し、主に連結決算業務、開示資料作成業務や初年度のIFRS 有価証券報告書作成リーダーを担当。そして、2021年7月に独立開業し、現在はCPA会計学院にて会計士講座や、IFRS動画や簿記1級講座を無料で提供する「CPAラーニング」の講師を務め、近畿大学経営学部の非常勤講師として学生向けに会計士講座を開講。会計を楽しく学べる『公認会計士 YouTuber くろいちゃんねる』を運営。著書「経理になった君たちへ」「伝わる経理のコミュニケーション術」(税務研究会出版局)。
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