水を温めただけの「白湯」が、なぜ想定の3倍も売れたのか アサヒの“着眼点”が面白い:水曜日に「へえ」な話(3/5 ページ)
アサヒ飲料の「白湯」が売れている。水を温めただけの商品がなぜ売れているの? と思われたかもしれないが、ヒットの背景に……。
夏もそこそこ
22年11月、パッケージに「白湯」の文字がどーんと印刷された商品が店頭に並んだ。冒頭でも紹介したように、計画の3倍ほど売れたわけだが、特に駅やオフィスの近くにある店で購入する人が目立った。「やはり、自宅で白湯をつくる時間がなかった人たちが買われているようです。電車に乗る前であったり、会社で働く前であったり、『カラダをあたためたい』人たちにうまく伝わったのかもしれません」(鈴木さん)
白湯は当初、23年4月末までの販売を予定していた。「ワンシーズン扱ってみて、その後は様子を見ようか」といった感じで始めたところ、予想以上に売れた。となれば、莫大な予算を投入して宣伝を……といった話になりそうであるが、冷静にならざるを得ないことが待ち受けていた。夏である。
継続して販売するのはいいが、夏にお湯が売れるのか。飲みたい人はいるのか。一年を通して販売したことがないので、よく分からないことが多い。ということもあって、細々と続けてみたところ、予想以上に売れた。どんな人が買っているのかというと、働く女性である。暑い夏、クーラーが効いたオフィスで仕事をしていると、カラダが冷えてくる。そうしたときに、温かい飲み物を……ということで、白湯を手に取る人がいるようだ。
秋から冬にかけてよく売れた。夏もまずまず。となれば、次にすることは何か。アサヒ飲料は9月に、白湯の通年販売を発表した。温かさを持続させるために「不織布素材のラベル」を採用することに。商品を55度まで温めて、気温10度の環境で温度の変化を測定したところ、従来品と比較して温かさ(40度以上)が約1.3分長く持続することが分かってきたのだ。
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