「コロナ禍以前」に復活の小売業 識者が2023年のホットトピックを振り返る:インバウンドも回復(4/4 ページ)
コロナ禍が収束の兆しも見せ始めた2023年。小売業の各社は、どんな取り組みを行い、またどういった状況にあるのか。小売業に詳しい著者が、各業界別に2023年の動向を振り返る。
SPA代表格の2社はいずれも堅調
SPAとして事業を展開している2社にもフォーカスしてみましょう。ファーストリテイリングが展開するユニクロは、国内店舗が微減の傾向にありますが、海外店舗を堅調に増やしています。製販一体のSPAで高い営業利益率を実現し、売り上げも初の3兆円を超える見込みです。長期的には10兆円の大台も視野に入れており、完全に海外市場を中心として戦略を考察していることがうかがえます。
ニトリは店舗数が国内・海外ともに拡大傾向にあり、それに比例してCAGRは8.6%を達成しています。ニトリ事業の営業利益率が16.5%と収益性が高く、通販比率も11.2%で、全ての要素がバランス良く連動しながら多角的に成長していることが見てとれます。今後は海外店舗がどの程度のスピードと量で拡大していくかに注目が集まります。
さて、ここまでは店舗数や売り上げなど、定量的な観点で整理してきました。最後は業態別に注目トピックスを整理したいと思います。図表としてまとめましたので、ぜひご覧になってください。
各業態で出店が飽和する市場環境の中、新カテゴリー、新事業、新ターゲット、新サービスの開拓に注力するとともに、DXによる業務効率化、データ活用の高度化を推進している事例がたくさん話題を呼びました。
今回は「今年の総括」として、数値面とトピックスで小売業の動きを整理しました。次回は今回の情報を基に、24年における小売業の重要テーマについてお届けしたいと思います。日本のインフラでもあり、日々の生活における楽しさも支えている小売業の活性化のために、本記事・そして次回の記事が少しでもお役に立てば幸いです。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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