渋谷駅にサラダ自販機を設置して、見えてきた「0.13%」の数字:水曜日に「へえ」な話(2/5 ページ)
京王井の頭線の渋谷駅に、サラダなどを販売する自販機が登場した。価格は1000円ほどするのに、なかなか好調のようで。ちょっと変わった自販機を設置したことで、どんなことが分かってきたのか。
ダイナミックプライシング機能を搭載
とまあこんな感じで、サラダ自販機は苦戦に苦戦を強いられていたのだ。そんな日々を送っている中で、ひょんなきっかけで、京王井の頭線の渋谷駅に設置することに。ビルと違って、駅ナカなので自販機の前を通る人の数は多い。となれば、気になるのは反響である。
「人気のない芸人さんが『M-1グランプリ』に出場しても、予選を突破するのは難しいですよね。この事業もそんな状況が続いていましたが、駅ナカに設置したところ、“いきなり決勝に進出”といった感じでした」(新井さん)。例えが分かりやすい、分かりにくいといった話は別にして、売り上げの数字を見れば一目瞭然である。これまでの月商を、1日で突破するほどの勢いだったのだ。
自販機で販売している商品を大きく変えたわけではない。にもかかわらず、なぜ売れたのか。さまざまな要因がからみあっている中で、個人的にこの自販機に搭載されている、2つの機能が大きく影響しているのではないかと思っている。1つは「ダイナミックプライシング機能」(特許取得済み)だ。
ご存じのとおり、ダイナミックプライシングとは需要と供給に応じて価格を変動させる仕組みのことである。テーマパークの入場券やスポーツの観戦チケットのほかに、鉄道会社やコンビニなどでも導入されている。
この機能を自販機に搭載して、どうだったのかというと、いきなりうまくいったわけではない。導入当初はよく分からないことが多かったので、スタッフのカンで決めていたこともあった。「このサラダは、販売して〇時間がたったよね。じゃあ、〇%引きで」といった具合に進めていて、どんどんデータを取得していった。
例えば、20%引きだとこのくらい売れて、40%引きだともっと売れてといったことが分かってきた中で、70%引きを実施したことも。「このときはものすごく売れました。ただ、ものすごく赤字もでました(涙)」(新井さん)
お客の反応率を知るために、その後もさまざまなことを繰り返す。現状、サラダの場合、880〜1280円で販売している。で、ダイナミックプライシングを導入する前と後で、売り上げにどのような変化が出ているのか。販売個数は1.8倍、売り上げは1.5倍、いずれも増えているのだ。
関連記事
- 「ゆで太郎」の“弟分”「もつ次郎」が、急成長しているワケ
立ち食いそばチェーン「江戸切りそば ゆで太郎」の弟的存在の「もつ次郎」が急成長している。店舗が増えているのは併設店が多いからだが、シナジー効果を発揮していて……。 - なぜバーガーキングの店舗数は増えているのか 100店→200店の舞台裏
「バーガーキング」が快進撃を続けている。ここ数年店舗数を増やしていて、100店舗から200店舗に。ハンバーガーチェーンの撤退が相次ぐ中で、どのようにして増やしたのか。 - 水を温めただけの「白湯」が、なぜ想定の3倍も売れたのか アサヒの“着眼点”が面白い
アサヒ飲料の「白湯」が売れている。水を温めただけの商品がなぜ売れているの? と思われたかもしれないが、ヒットの背景に……。 - 明大前駅に“さまざまな自販機”を設置して、どんな商品が売れたのか
東京の明大前駅に、ちょっとユニークなスペースが登場した。さまざまなジャンルの自販機が登場して、いくつかのヒット商品が生まれているのだ。どんな自販機なのかというと……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.