「飛び込み営業」がついに死語に!? AIの台頭でくつがえる営業の常識(2/3 ページ)
もしかしたら、AIの活用によって日本から飛び込み営業がなくなる日が来るかもしれない――。AIの台頭で営業の常識が変わりつつある今、時代遅れな方法はどんどん淘汰されている。今後の日本の営業活動はどう変化するのだろう……?
進む営業現場のAI活用
第一段階である「営業支援ツールの浸透」が進む日本の営業現場では、システム活用による業務自動化を取り入れたオペレーションを組み込むエンタープライズ企業やスタートアップ企業が出てきています。背景として、人手不足の課題感から生産性向上の重要性が増し、営業メンバーの時間の使い方を見直す企業が増えていることも関係するでしょう。
より効率的に顧客にアプローチを行うために、非対面型で営業活動を行うインサイドセールス部門の立ち上げや、営業の自動化機能を持つシステムの導入検討に関するご相談をいただくことも増加しています。自動化の初手として進めやすいのは、変数が少なく「定型業務」が比較的多い営業プロセスの前半となるため、新規顧客開拓やリードのナーチャリングを行い商談機会を作るインサイドセールスからプロジェクトを進めるケースが多いです。
例えば、自社組織でのインサイドセールス部門の立ち上げに伴い、マーケティングやフィールドセールスも含めた組織共通のシステムを導入し、営業活動の活動基盤として活用するケースです。これにより、システムから自動的にサジェストされる確度の高い見込み客から当たっていき、期間が空いた顧客には追いメールが自動送付されるオペレーションを組むなど、無駄を徹底的に省き、営業担当が営業活動に集中できる環境を組織的に作り込んでいくことが可能になります。
現段階で、先行する日本企業では具体的にどのような業務の自動化が実現しているのか、業務フローに沿ってご紹介します。
下記は「ナーチャリング」における営業オペレーションを細分化したものです。青色のハイライト箇所は、顧客から取得済みの情報やリアクションに応じて、営業担当が取るべき適切な打ち手は複数のバリエーションがある「非定型業務」。一方、水色のハイライト箇所は「定型業務」であり、機械により早期に自動化・省力化が見込めるものです。
実際に、潜在顧客へのメール作成・送付、アポイント獲得後の日程調整や商談前日の確認メール、商談後のお礼メールなどを、AIによって自動化する企業も誕生しています。
営業における前半部分の一部業務のみですが、これらの自動化を活用できれば、これまで割いていた時間の分の活動量と質を上げて、商談機会を増やすことができるはずです。業務効率化はもちろん、人的なタスクの抜け漏れなく確実に自動で実行することで、機会損失の防止、必要事項の聞き漏れなどによるプロジェクトの遅延といった事態を防げることもメリットであり、顧客との関係構築につながる点です。
従来の各営業が半ば感覚的に当たり先の優先度を決めていた体制から、機械に当たり先やネクストアクションの判断を任せ、人は行動にフォーカスする、またネクストアクションのスピードを上げられるようにすることで、活動効率を改善し、プロセスを着実に前に進めることができます。
これまでの飛び込み営業では、顧客先に訪問してもアポイントがないため話を聞いてもらえない、断られることが多く、契約につなげていくまでに時間も手間も余計にかかる一面がありました。
「数を打てば当たる」という考えに基づき、できるだけ多くをこなしても、必ず契約が取れるわけではなく営業効率はどうしても低くなってしまいます。直接訪問する機会を減らし、温度感の高まっている相手に適切なタイミングでアプローチを行う仕組みを整えられれば、営業担当の行動の質も高まり、自ずと成果も変わってくるはずです。
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