インターネットの登場以来、ビジネスが成長するスピードが格段に向上しました。競争が激化する中で事業を成長させるため、新しい顧客や機会を継続的に探し出すことが不可欠となっています。
リードの獲得源として、マーケティングを軸としたアプローチが浸透してきましたが、このような間接的なアプローチでは時間をかけて顧客との関係値を育む必要があり、商談フェーズに達するまでに期間を要してしまいます。また、人を増やせば商談機会が増えるという構造になっていないこと、アプローチできるレイヤーが限られるために決済金額が小さい傾向があることなどの課題もありました。
このような中で活躍が見込まれるのが「BDR(Business Development Representative)」です。BDRは、大規模なエンタープライズ企業における、決済可能金額が大きい部長役員以上のレイヤーを対象に、直接的なアプローチから新規リードを獲得することを目的とする専門の営業部隊を指します。
前回の記事では、BDRの種類や概要、米国で注目を集める理由などをご説明しました。本記事では、BDR組織の立ち上げ方法について、グーグルジャパンで営業統括部長、freeeで営業統括役員を歴任し、現在はMagic Momentの代表を務める村尾祐弥が解説します。
参考:リードの40%が商談化!? 米国式インサイドセールス「BDR」の実力とは
リードの40%が商談化!? BDR組織立ち上げの最初の一歩
BDR組織を立ち上げる際は、必ず「段階を踏む」必要があります。
ただ人を配置して目標を提示するだけでは、担当者毎に営業手法がバラバラになり、ノウハウが組織的に蓄積されないため、成果につながる要因をデータから見つけたり、改善したりすることができません。
経験のある営業担当を集めれば、少人数のうちは成果が出るかもしれません。しかし、増員した時に再現性がなく、人員を増やすことでリード数の拡大を行えるというBDRならではの価値を生かすことができなってしまいます。
そのため、BDR組織の立ち上げを絵に描いた餅に終わらせずに済むよう、「構築した営業プロセスを全メンバーが体現できるようにする」「モニタリングし、定常的にアップデートしていく」という目線で、段階的に進めていくことが重要になります。
経験の有無にかかわらず、メンバー全員が同様に営業活動を行える活動基盤を整えるためには、各営業担当の行動・成果を可視化し、結果をもとに上位の営業担当者の行動に近づけるための営業プロセスを運用・改善する必要があります。
このような定量的なモニタリングの仕組み、個人のスキル習熟を促す組織設計は、営業組織のみならず組織横断の取り組みとなり、難易度は非常に高くなります。しかし、立ち上げ完了後に創出できる成果と副次的に得られる効果は、自組織の成長に大きく貢献してくれるはずです。ぜひ前向きにチャレンジいただくことをおすすめします。
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