「管理職辞退」は悪いこと? 断る際に重要な2つのポイント:QAで解説(1/2 ページ)
昨今「管理職になりたくない」「管理職にならない方がお得だ」――という意見が多く挙がっている。管理職にならず、現状のポジションを維持したいと考えているビジネスパーソンが増えているが、管理職登用を「辞退」するのは悪いことなのだろうか……?
昨今「管理職になりたくない」「管理職にならない方がお得だ」――という意見が多く挙がっている。管理職にならず、現状のポジションを維持したいと考えているビジネスパーソンが増えているが、管理職登用を「辞退」するのは悪いことなのだろうか……?
社会保険労務士法人 大槻経営労務管理事務所の和賀成哉氏が、管理職登用を辞退するうえで気を付けるべきポイントを解説する。
「管理職辞退」は悪いこと?
Q:管理職になりたくない中年層が増加しています。私もその一人で「管理職は責任が重いのに給与が伴っていない」と考えています。管理職になることを断り、ずっと今のポジションにいたいと主張することは、悪いことなのでしょうか?
専門家の見解
A:管理職になりたくない理由を明確に伝えて辞退することは、悪いことではありません。ただし、辞退するとその後の昇進が難しくなる可能性もあります。
また、もしかしたら「管理職は責任が重いのに給与が伴っていない」と思い込んでいるだけかもしれませんので、会社の制度を理解し、納得したうえで選択するようにしてください。
なぜ、日本で「管理職になりたくない」人が増えているのか
日本では「管理職になりたくない」という人が圧倒的に多いです。パーソル総合研究所が2022年に実施した調査では、日本で管理職になりたい人はたったの19.8%で、調査対象地域の中で最も低い数値だというデータが出ています。
管理職になりたくない理由は、主に以下のものがあります。
- マネジメントなどの仕事量が増える
- 責任をこれ以上負いたくない
- 給与が責任に見合わない(一時的に下がるケースも)
- 管理職に向いていないと感じる(自信がない)
- 現在の仕事内容と給与に満足
- 仕事と家庭の両立に不安がある
- プライベートの時間を優先したい
ここで、労働基準法第41条第2号に定める管理監督者(以下、「労基法上の管理職」という)と、会社が定める管理職の違いについて触れておきます。
労基法上の管理職は、労働条件の決定、その他労務管理について経営者と一体的な立場にあり、労働時間などの規制の枠を超えて活動せざるを得ない、重要な職務内容を有していること――とされています。その職務の重要性から、一般職と比較して相応の待遇がなされていることなどを条件に、労基法で定める労働時間、休憩、休日が適用除外となっています。
つまり、残業代を支給しなくても問題ないということです。もちろん、深夜時間帯に勤務した場合の割増賃金は、労基法上の管理職でも支給しなければなりません。
一方、会社で定める管理職は、労基法上の管理職と同様である必要はありません。多くの会社では「課長」から管理職としています。しかし労基法上の管理職は「部長」からで「課長」には残業代を支給するとしています。自社の制度を確認しておくとよいでしょう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「管理職になりたくない」 優秀な社員が昇進を拒むワケ
昨今は「出世しなくてもよい」と考えるビジネスパーソンが増えている。若年層に管理職を打診しても断られるケースが見受けられ、企業によっては後任者を据えるのに苦労することも。なぜ、優秀な社員は昇進を拒むのか……。「テレワークを廃止」したら退職者が急増 原則出社はもう無理なの?
「ホワイトすぎて」退職って本当? 変化する若者の仕事観
「ホワイト離職」現象が、メディアで取り沙汰されている。いやいや、「ホワイトすぎて」退職って本当? 変化する若者の仕事観を考える。時短勤務や週休3日が「働く母」を苦しめるワケ 働き方改革の隠れた代償
男性育休の促進、時短勤務やテレワーク、フレックスタイム制といった従来の制度をより使いやすくする動きが進んでいる。子育てをしながら働き続けるためのオプションが増えるのは良いことだ。しかし一方で、「これだけの制度があるんだもの、仕事も子育ても頑張れるでしょ?」という圧力に、ますますしんどくなる女性が増えてしまう可能性も。「管理職になりたくない」女性が多いのはなぜ? リアルな苦しみを専門家が解説
女性の管理職への登用が注目されている。しかし、管理職を希望する女性は少ないのが現状。その理由を専門家が分析する。女性が管理職を望まない理由 「責任が重い仕事はイヤ」を抑えた1位は?
ライボ(東京都渋谷区)の調査機関「Job総研」が「2023年 女性管理職の実態調査」を実施した。