「街路樹で店が隠れる」問題に、ガスト運営はどう対応? 売上を左右する“看板戦略”(2/2 ページ)
アフターコロナに対応するため、「ガスト」「バーミヤン」「しゃぶ葉」などを展開するすかいらーくホールディングスは、店舗内外に設置する看板の戦略を大きく変えようとしている。その背景などを同社の執行役員に聞いた。
街路樹と後からできた構造物への対応は?
立地や周辺の道路状況などは店舗によって大きく異なる。それぞれの店舗の視認性を高め、スムーズに駐車場へと誘導するため、梅木氏は知恵を絞っている。
例えば、新店オープンの際には、看板を適切な場所に設置するために、社員が現地の状況を直接確認するだけでなく、自動車から動画の撮影もする。梅木氏はその動画をチェックし、IN看板の位置などを調整していくという。それだけ視認性の向上にこだわるのは、売り上げを大きく左右する要素の一つだからだ。
また、ドライバーから見て、競合の店舗・看板が自社店舗より手前にある場合には、さらにその前にガストのリードサインを設置するようにしているという。存在を先に認知してもらうことで、「ガストで食事しよう」という意思決定を促す狙いがある。
店舗が街路樹で隠れるような場合は、特に視認性を高める工夫が必要となる。街路樹の葉が少なくなる冬だとそれほど問題はないが、夏になるとかなり見えにくくなるケースもある。
そこで、新店舗をオープンする際には、葉が最も茂っている状態での視認性を確認するようにしているという。道路から見えにくいという状況を、IN看板や自立式の看板でどう補うかをしっかり検討するためだ。同社には看板設置に関するマニュアルは存在するが、最終的には店舗ごとの状況によって、個別施策を判断しているという。
店舗がオープンした後、付近に新しい構造物ができた場合も、視認性の低下につながる。売り上げにかかわる事態なので、追加の対策が必要となる事態だ。一方、全ての店舗の周辺状況を本部がリアルタイムで把握するのは難しいという事情もある。そこで、周囲の環境が大きく変わった際には、店舗のマネジャーやクルーに知らせてもらうような制度を始めようとしているという。
普段何気なく目にしている看板だが、その設置場所などを巡って店舗開発の担当者は日々知恵を絞っているのだ。
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