値上げラッシュでもなぜ「値下げ」? 幸楽苑・ガスト・なか卯、それぞれの戦略(3/4 ページ)
値上げラッシュが続く中でも値下げに踏み切る外食チェーンは少なくない。なか卯・幸楽苑・ガスト、それぞれの懐事情と狙いを分析する。
アルコールの値下げが目立つガスト
11月にメニュー改定を行ったガストは、アルコール類の値下げが目立つ。ジョッキのビールが550円から500円に引き下げられ、レモンサワーと角ハイボールは350円から300円になった。
アルコールに合わせやすそうな料理も安くなっており、山盛りポテトフライは450円→400円、チーズINハンバーグは800円→750円に値下げ。特に注目を浴びたのが直径24センチのたっぷりマヨコーンピザだ。こちらは700円から500円と、200円もの大幅値下げとなった。
メニュー改定では値下げだけでなく新メニューも追加されている。ちょいピザ マルゲリータ(350円)、チャーシュー&煮卵(400円)といったサイドメニューのほか、がっつり系としてガストブラックカレー本気盛り(1200円)が追加された。
ガストの運営母体であるすかいらーくHDは、9月末時点で約3000店舗を展開している。そのうち1300店舗弱がガストである。業績を見ると、ゼンショーHD同様に値下げの余力はあったことが分かる。19年12月期から22年12月期までの業績は次の通りだ。
売上収益:約3753億円→約2884億円→約2645億円→約3,037億円
営業利益:約205億円→約▲230億円→約182億円→約▲55億円
コロナ禍では消費者の外出自粛や時短営業などの影響を受けたが、今期の売上高は3550億円、営業利益は100億円と黒字化を見込む。22年に値上げを実施したが客数は減らず、むしろ増えたことが増収の要因としている。一方の黒字化は徹底した経費削減策が要因だ。配膳ロボットやセルフレジを積極的に導入し、経費削減に努めた。
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