「未利用魚のサブスク」会員が1万人を突破 “売れなかった魚”がなぜウケているのか:3分インタビュー(1/3 ページ)
廃棄されていた魚を販売したところ、会員が1万人を突破したサービスがある。その名は「Fishlle!(フィシュル)」。なぜ人気を集めているのかというと……。
3分インタビュー:
「SNSで話題のあの商品はどうやって開発したの?」「なぜこの会社はこんな取り組みを進めているの?」ちょっと気になっていた企業の“なぜ”をコンパクトに紹介します。
サービスや製品に込めた思いや苦労話など、担当者にしか分からない「裏側」を徹底取材。仕事が忙しくて、じっくりと情報を得ることができない人でも読めるよう、できるだけ簡潔にまとめています。テレワーク中の息抜きや移動時間、就寝前に「3分インタビュー」でサクッと情報収集!
未利用魚を使用したサブスクサービスが成長している。サービス名は「Fishlle!(フィシュル)」。福岡市に拠点を置くベンナーズ社が運営していて、サービス開始から2年半でサブスクの会員が1万人を突破した。
未利用魚とは、十分な水揚げがなかったり、加工が難しかったり、形が悪かったり、そんな理由で市場で売買されにくい魚のこと。総水揚げ量の3割ほどを占めていると言われている中で(※)、なぜフィシュルのサービスは好調なのか。同社の社長、井口剛志さんに話を聞いた。
サービスを始めたきっかけ
――未利用魚といえば「グロテスクな魚=怖い」といったイメージをもっている人が多いこともあって、スーパーなどであまり見かけないですよね。消費者が目にする機会が少ないので、どのように料理をすればいいのかよく分からない。そんな状況の中で、ベンナーズ社は自社工場で下ごしらえをしたモノをパックに詰めて、冷凍で届けるようにしました。料金は毎月送るパック数に応じて、3つのプラン(月5390〜1万1000円)を用意していますが、そもそもなぜこのようなサービスを始めたのでしょうか?
井口: 2018年4月に会社を設立して、漁業者と外食産業を直接つなぐプラットフォームを立ち上げました。サイトの利用者は順調に増えていたのですが、新型コロナの感染拡大を受けて、外食産業が大きな打撃を受けました。「売り上げが対前年比9割減」といった数字が並ぶ中で、当社も影響を受けました。大学を卒業して、会社を立ち上げたものの、いきなり大変な事態になってしまって、正直「うわーっ」といった感じでした。
ただ、同時に「何か新しいことをしなければいけない」と思って、未利用魚を活用できないかと考えました。未利用魚の多くは廃棄されているので、もったいない。それをうまく活用すれば、多くの人に喜ばれるのではないか。また、SDGsという時代の流れを受けて、捨てられる魚が見直されるタイミングがくるのではないかと思って、事業をスタートしました。
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