「未利用魚のサブスク」会員が1万人を突破 “売れなかった魚”がなぜウケているのか:3分インタビュー(2/3 ページ)
廃棄されていた魚を販売したところ、会員が1万人を突破したサービスがある。その名は「Fishlle!(フィシュル)」。なぜ人気を集めているのかというと……。
サービスの仕組みを考える
――とはいえ、当時はコロナ禍ですよね。外食産業が大ダメージを受けているということは、これまで売れていた魚も売れていなかったはず。そうした状況の中で「未利用魚を使って、商品を売っていくぞー」と訴えても、周囲から反対の声があったのでは?
井口: これまで未利用魚はどのように扱われていたのか。地元の道の駅で販売していたり、おみやげ物店に置いていたり、学校の給食で提供したり。単発で終わるケースが多かったんですよね。なぜ単発で終わるケースが多かったのかというと、未利用魚は天然モノなので、漁獲量が不安定なことが大きい。加工した商品をつくろうと思っても、安定的に供給できないといった事情があったので、継続的に運営することが難しいんですよね。
――買いたいという人がいても、魚がない。売りたいと思っても、買いたい人がいない。こうした状況が続いていたわけですね。
井口: はい。こうした課題を解決する方法として、サブスクがあるのではないかと考えました。定期的に購入する人がいれば捨てていたモノを売る人が出てくる。安定的に供給できれば、定期的に購入する人が増えてくるのではないかと。
あと、どの魚でも売れるような仕組みが必要でした。繰り返しになりますが、未利用魚は天然モノなので、時期や漁港などによって、たくさん獲れる魚もあれば、なかなか獲れない魚もある。であれば、なんでも売れるような仕組みが必要だと考え、「お任せ便」という形態にしました。
――サブスクの会員が1万人を突破しました。どのように受け止めていますか?
井口: 想定よりも速いスピードで達成できました。「未利用魚」という言葉に興味を示す人が多く、メディアで取り上げられると「なにこれ?」と感じて、購入にいたるケースがありました。また、デジタルマーケティングにチカラを入れていて、広告を見た人が「ちょっと気になる。食べてみたい」と感じられたのかもしれません。この2つによって、サブスクの会員が増えていきました。
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