「缶コーヒーを飲まない若者」に人気のボス缶 なぜ「2カ月で2000万本」も売れたのか(2/2 ページ)
2023年3月発売の「ボスカフェイン」の販売が好調だという。「カフェインを摂取できる」ことを打ち出すパッケージが、なぜ「缶コーヒーをあまり飲まない若い人」をターゲットに好調な売れ行きを示しているのか。
縮小市場でどう展開? 「BOSS」のブランド戦略
近年の「BOSS」ブランドは、従来メインとしてきた缶コーヒー以外の形態の新商品を相次いで発売している。背景には、前述した缶コーヒー市場の縮小のみならず、人々の嗜好(しこう)の多様化や働き方の変化などがある。こうした状況の中、ブランドコンセプトである「働く人の相棒」を足場に、新趣向の商品を生み出しているのだ。
従来のBOSS缶コーヒーの消費者は、仕事の合間の一服として飲用するケースが多かった。飲みながら休憩を取り、飲み終われば仕事に戻る形だ。
しかし、こうした「一服スタイル」も働き方の変化に伴い多様化。プラスチックのカップに入ったコーヒーを買い、仕事中や休憩中に少量ずつ時間をかけて飲んだり、朝に買って一日中持ち運んだりと、飲み方の変化に寄り添う必要が出てきた。
このため17年に発売したのが「クラフトボス」だ。ペットボトル入りの商品のため、蓋があり“ちびちび”と飲むことに適しており、最新のCMでは“宇宙人ジョーンズ”も休憩時間ではなく、仕事中に片手間で飲んでいる。21年3月には、ペットボトル容器をスリム化するリニューアルを行い、テレワークでも持ち歩きやすいよう改良した。
また、コーヒーを飲む習慣がない人にもターゲットを広げた商品として企画されたのが「クラフトボス ティー」シリーズだ。フルーツティーや無糖紅茶、ミルクティーなどの豊富な商品展開のほか、長年のCM展開でブランドが好意的に受け入れられていることも奏功し、当初のターゲットを中心に販売は好調だという。
縮小していく缶コーヒー市場で新たなターゲットも狙いつつ、多様な展開を図るボスブランド。今後の商品展開からも目が離せない。
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