なぜ、年末に弁当を買う人が増えるのか 約10回の「やり直し」を乗り越えたローソン「かつ丼」開発の背景(1/2 ページ)
ローソンが、チルド弁当の「これがロースかつ丼」をリニューアルして11月下旬に発売した。開発プレゼンでは約10回のダメ出しがされたという。開発の背景を担当者に聞いた。
ローソンが年末に高まる弁当需要に対応するため、チルド弁当の「これがロースかつ丼」「これが炭火焼牛カルビ丼」(ともに592円)を11月下旬に発売した。かつ丼には特に注力しており、開発会議では10回以上「やり直し」が入ったという(通常は1〜2回)。リニューアルの背景について、開発を担当した梅林寛仁氏(デイリー・厨房部 シニアマーチャンダイザー)に話を聞いた。
年末が近づくと仕事が忙しくなることから、飲食店ではなくコンビニで弁当を購入するニーズが高まる。特に、かきこんで食べられる丼が選ばれる傾向にあるという。コロナ禍が収束してオフィスで働く人が増えたことも、弁当需要にとっては追い風となっている。
梅林氏によると、リニューアル前のかつ丼はそれほど支持されてなかったという。かつ丼はお店で出来立てを食べる機会が多く、競合となる外食チェーンでは比較的安価で提供していることも背景にある。コンビニのかつ丼は不利な状況にあった。
かつ丼のリニューアルでは、調理工程の改善に特に苦労した。お店の味を再現するだけでなく、工場のオペレーションも同時に見直さなければいけなかったからだ。
調理工程では、調理をする皿にかつ、つゆ、卵を入れて加熱し、その後素早く冷却して盛り付けるようにした。ただ、盛り付ける際にかつがバラバラになるといった失敗が続いた。詳細は企業秘密だが、こうした課題を解決するためにクッキングシートを導入したところ、理想とする味と作業工程が実現できたという。
クッキングシートを使うアイデアはどこから生まれたのか。梅林氏は以前、ローソン店内で調理する揚げ物の開発を担当していた。店内のオペレーションを改善する際にクッキングシートを導入したところ、コスト減・作業効率向上を実現できたという。また、個人的な趣味として土日の食事を自分でつくっており、クッキングシートを活用していたこともひらめきの背景にある。
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