多角化進めるニトリ 2年前に始めた「レストラン」は今、どうなっているのか(3/3 ページ)
2021年にニトリが始めた外食事業。発表から2年以上が経過しており、店舗数は6つまで増えている。一方で、業態は現在3つを展開する。どのような狙いがあるのか。
「安さ」以外の付加価値を模索
「お、ねだん以上。」をスローガンとして、特にデフレ経済である00年代に入ってからニトリは安さを武器に急成長し、地位を確立してきた。生産から物流、小売までを自社で一括管理するSPAは中間業者へのマージンを抑えられるため、安さで他社に勝る。売上高は03年に1000億円を達成し、17年2月期には5000億円、21年2月期には7000億円を超え、今期は9320億円を見込む。
多くの業種が苦しんだコロナ禍でも、ニトリは巣ごもり需要に支えられて業績を伸ばした。しかし、長期では人口減少による市場縮小は避けられない。大型家具店としての将来性が危ぶまれる中、新業態を模索してきた形だ。前述した島忠の子会社化だけでなく、近年では女性向けアパレルブランド「N+(Nプラス)」を発表。Nプラスは9月30日時点でイオンモール内などに約40店舗を展開している。09年度から販売しているPBの家電製品では、エディオンとの共同開発を始め、大手家電メーカー出身者の採用も進めている。
以上のようにニトリは新業態(島忠・Nプラスなど)のほか、本業の集客力を高める施策(家電など)を模索・構築してきた。ニトリ・ホームズとの相乗効果を期待する外食事業への参入は、後者に該当する。現段階でニトリダイニングの成否は判断できないが、仮に大成功となれば、飲食店単体の新規事業として全国的に展開されるかもしれない。
著者プロフィール
山口伸
化学メーカーの研究開発職/ライター。本業は理系だが趣味で経済関係の本や決算書を読み漁り、副業でお金関連のライターをしている。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー Twitter:@shin_yamaguchi_
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