“クレイジー”な日本の避難所を救う 「ムービングハウス」とは何か:スピン経済の歩き方(2/5 ページ)
能登半島地震で被災した人の多くが、未だに体育館で雑魚寝をするような生活を送っている。今こそ国をあげて日本中にムービングハウスを「備蓄」すべきではないか。
プライバシーの問題だけではない
筆者も実際にある被災地を取材していた時にプライバシーテントの中に入ったことがあるが、あそこで長時間過ごすのはかなり息苦しい。プライバシーの問題は解決されるが、やはり音の問題がある。避難所でよく聞くのは、子どもや乳幼児の声、周囲の人々のおしゃべりや生活音が常にあって、ただでさえ疲弊したメンタルがさらに追い詰められるといった悩みだ。
つまり、これらのテントでは「体育館で雑魚寝」という状況を改善させているだけであって、心身を追い詰められた被災者の心身を守る点では不十分というわけだ。
では、このように被災者を2次被害的に苦しめる「体育館で雑魚寝」という避難スタイルをどう解決すべきか。個人的には国が「ムービングハウス」の普及を加速させていくべきだと考えている。
「ムービングハウス」とは
ご存じの方も多いだろうが、ムービングハウスとは国際規格の海上輸送コンテナと同じサイズ(長さ12メートル、幅2.4メートル)の移動式木造住宅のことだ。コンテナと同サイズということで大型トレーラーに積載してそのまま輸送できるので、これまで多くの被災地で仮設住宅などとして活用されている。
ムービングハウス最大の強みは「スピード」だ。完成されている住宅なので交通が確保できればすぐにトレーラーに乗せて被災地に行けるし、設置後は電気・上下水道、ガスに接続すれば、すぐに生活ができる。これが「体育館で雑魚寝」を強いられる被災者たちにとって、どれほどありがたいことかは説明の必要がないだろう。
車中泊の継続や体育館での生活は災害関連死や健康被害のリスクを高めるといわれている。ムービングハウスを早急に被災地に送ることは、命を守ることでもあるのだ。
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