ダイヤが乱れたのに、なぜ新幹線は臨時列車を運行できたのか:「余力」がない問題(1/4 ページ)
能登半島地震や航空事故の発生により交通網に影響が出る中、なぜ鉄道会社は突発的な対応ができたのだろうか。新幹線の臨時列車に学ぶ、輸送の確保に必要な「余力」の重要性とは。
1月1日、石川県の能登半島を中心に発生した「令和6年能登半島地震」や、2日に羽田空港で起きた旅客機と海上保安庁の航空機による衝突事故で、帰省客や行楽客のUターンに大きな影響が出た。
北陸・上越新幹線は1日に一時運転を停止し、ほかの新幹線にも遅延などが発生。羽田空港では滑走路の一部が使用できなくなったため、数日にわたり欠航が相次いでいる。
そんな中、突発的に新幹線の臨時列車を運行したのが鉄道会社だ。特に東海道新幹線「のぞみ」は、積極的に臨時列車を走らせた。年末年始、「のぞみ」は全車指定席としていたが、臨時列車を運転すると発表し、普通車は全車自由席、グリーン車はグリーン券を車内で販売した。ほかの新幹線も同様だった。
どんな臨時列車が動いたのか
1日に運転を見合わせていた北陸新幹線・上越新幹線は、2日の午後に全線で運転を再開した。だがその日の夕方、羽田空港で航空事故が発生。同空港発着の航空便に影響が出た。
ただでさえ利用客が多いこの時期に、飛行機の利用者も引き受けなければならないということで、東海道新幹線は終着駅到着が24時を過ぎる臨時列車を出している。
翌3日には、東海道新幹線「のぞみ」だけではなく、北陸新幹線「はくたか」上りや東北・北海道新幹線「はやて」上りも臨時列車を運行。「はやて」に合わせてJR北海道は臨時特急を運行し、山陽新幹線「ひかり」も臨時列車を設定した。
4日以降も東海道新幹線は「のぞみ」の臨時列車を運行。東北・北海道新幹線は「はやて」を運行し続けている。なお、「はやて」とJR北海道の臨時特急列車は1月8日まで。東海道新幹線「のぞみ」の臨時列車は6日以降、指定席としている。
航空事故の影響により羽田空港の一部滑走路は7日まで閉鎖され、その間は成田空港発着の国内線臨時便が設定された。地震による混乱と、航空事故による混乱を新幹線が一手に引き受けた状態となった。
ではなぜ、鉄道会社はUターンラッシュの合間に新幹線の臨時列車を走らせることができたのか。
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