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“クレイジー”な日本の避難所を救う 「ムービングハウス」とは何か:スピン経済の歩き方(4/5 ページ)
能登半島地震で被災した人の多くが、未だに体育館で雑魚寝をするような生活を送っている。今こそ国をあげて日本中にムービングハウスを「備蓄」すべきではないか。
平時はホテル代わりに
例えば、石川県が数千棟単位でムービングハウスを備蓄しておく。平時は県内の市町村に分散して、それそれの職員の研修や出張の宿泊施設として活用したり、県内で大型イベントがあった時などのホテル代わりにしたりすればいい。実際、ムービングハウスを活用したホテルもある。
そして石川県内で何か災害が発生すれば、その地域にムービングハウスを集結させる。それだけでは足りないというのなら、近隣の都道府県のムービングハウスも持ってくる。そこで被災者に生活をしてもらうのだ。
復興が進み“お役御免”になったムービングハウスは、それぞれの場所に戻って再びホテルや宿泊施設として活用する。このようにそれぞれの都道府県で「防災備蓄品」として大量に購入しておけば、移動は最小限で済むし、互いにムービングハウスの貸し借りもできる。
「現実的ではない」としてムービングハウスの可能性から目を背けているうちは、われわれはいつまでもたっても先進国から「クレージー」と驚かれる「体育館で雑魚寝スタイル」の避難を続けるしかない。
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