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ラリーで鍛えたらどうなったのか “真顔”のアップデートを遂げたGRヤリス池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/4 ページ)

そのモータースポーツで活躍するためのラリーウェポン、GRヤリスがマイナーチェンジした。アホみたいな数の改善ポイントが列記されている。少量生産の特殊モデルにこんなに手をかけるマイチェンは見たことがない。

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 GRヤリスといえば「モータースポーツからのクルマづくり」というトヨタの新機軸でデビューしたクルマだ。ラリー車になった時のリヤウィングへの風の当たり方を考慮して市販車のルーフラインを決めるといった、従来あり得なかった作り方で設計されている。

 考えてもみてほしい。ヤリスは、われわれが日々街を走っていて、そこら中でうじゃうじゃ目にするクルマだ。厳密にいえば3ドアと5ドアで少しボディが違うが、とはいえ全く別物というわけではない。基本は安いレンタカーを借りた時に出てくるクルマだ。「超」が付くポピュラーカーである。そんなクルマが、企画段階からモータースポーツのためのデザインを取り入れるなんてことがあり得るだろうか?

 まあ今更騒いでも仕方がない。現にそういうクルマとして生まれて、ちゃんと普通に愛されて、あろうことかBセグで一番売れているのだから文句をいっても始まらない。

 要するにトヨタは、市販車と競技車を相容れない対立軸で見ていない。どっちかに合わせたら他方の性能が疎(おろそ)かになると思っていないのだ。両方の「もっといいクルマ」は両立できるし、なんなら双方のノウハウで高め合い「より・もっといいクルマ」になるというのだ。

 かつて、筆者にそう説明したのはGRカンパニーのプレジデントを務めていた当時の友山茂樹・現エグゼクティブフェローである。正直「友山さんもついにおかしくなった」と思った。「量販車中の量販車を、競技に使うことを念頭に設計するなんてことがあるかい」と当時筆者は思ったのである。が、あれから5年。ヤリスはちゃんと売れているし、モータースポーツでもまた活躍している。すんませんでした。

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