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トヨタはプレミアムビジネスというものが全く分かっていない(後編)池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/5 ページ)

前回はGRMNヤリスがどうスゴいのかと、叩き売り同然のバーゲンプライスであることを書いた。そして「販売のトヨタ」ともあろうものが、売る方において全く無策ではないか? ということもだ。ということで、後半ではトヨタはGRMNヤリスをどう売るべきだったのかを書いていきたい。

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 さて、前回はGRMNヤリスがどうスゴいのかと、叩き売り同然のバーゲンプライスであることを書いた。そして「販売のトヨタ」ともあろうものが、売る方において全く無策ではないか? ということもだ。

 ということで、後半ではトヨタはGRMNヤリスをどう売るべきだったのかを書いていきたい。

 まずはなぜ500台限定になったのかというポイントだ。これはトヨタに確認した。主にカーボンパーツを中心に、どうやっても量産できない部品があったからだというのがその答えだった。


GRMNヤリスに奢られたカーボンのボンネット

 それはまあ分からないではない。しかし筆者が一番気になるのは「限定台数しか作れない」のはあくまでもトヨタの都合ではないかという点だ。そのしわ寄せを全部ユーザーに被せるのはいただけない。

 そして、もうひとつ。2020年の1月に、「GRヤリスRZハイパフォーマンス・ファーストエディション」を購入した最初の顧客に対する心遣いの無さである。ファーストエディションを買った人は試乗もせずに予約を入れた人である。レース技術がフィードバックされたという触れ込みの、GRヤリスの最高性能モデルの一番高いグレードを、まだ評判さえ分からないクルマを、自ら腹を括ってミズテンで買ったのだ。

 それから2年、価格も性能もケタ違いの上位モデルが出た。技術というものは進歩するものなので、それ自体は仕方ないことだと思う。そしてGRMNヤリスのために開発されたアップデートパーツを、GRヤリスオーナーも購入できる。前編の2ページの展示されている部品の写真は、GRヤリスのためのアップデートパーツ群だ。しかも車両重量の差などを考慮して、GRヤリスをGRMNヤリスに近づけるためのチューニングまで行っている。ということはGRMNヤリスのパーツそのままではなく、GRヤリスにとって最適なアップデートになるように再チューニングが行われているということだ。その真摯な努力は認めざるを得ない。

 しかしトランスミッションをバラしてギヤを組み替え、ショックアブソーバーも全交換となると費用もかさむ。そこはまあいいにしても、スポットの増設と構造接着材によるボディの強化の部分は、後からどうにもならない。筆者は、せめてGRMNヤリスの先行予約をこのファーストエディションオーナーに向けて受け付けるべきだったと思う。

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