プレミアムって何だ? レクサスブランドについて考える:池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/8 ページ)
すでに昨年のことになるが、レクサスの新型NXに試乗してきた。レクサスは言うまでもなく、トヨタのプレミアムブランドである。そもそもプレミアムとは何か? 非常に聞こえが悪いのだが「中身以上の値段で売る」ことこそがプレミアムである。
さて、すでに昨年のことになるが、レクサスの新型NXに試乗してきた。
分かりやすくいえば、トヨタのGA-KプラットフォームSUVのレクサス版。もっと言えばカムリ用のプラットフォームで仕立てたRAV4のレクサス版ともいえる。
FFベースのシャシーに2.5リットル横置き4気筒ユニットを基礎にして、純内燃機関モデルとハイブリッド(HEV)とプラグインハイブリッド(PHEV)が構築されている。トランスミッションはダイレクトシフト8AT、駆動はFFとAWDが選べる——。というと正確ではない。実はNXはグレードによってそれぞれ別の方向性が持たされており、駆動方式も後述するトルク配分の上限値もそれぞれ適材適所に結構細かく変えてある。
基本モデル構成は、動力別に2.5リッターガソリンの「250」、それにインタークーラーターボを加えた「350」、2.5リッターガソリンをHEVに仕立てた「350h」、PHEVの「450h+」がある。これに駆動がFFと、いわゆるE-fourによる後独立モーター方式AWDの2種類、トリムラインは豪華仕様の「バージョンL」とスポーツ仕様の「F SPORT」の2種の順列組み合わせでできているのだが、その組み合わせのマトリックスが全部は埋まっていない。
エントリーモデルであるNX250は基本通りFFとAWDの2種があり、トリムラインの2種と掛け合わせて4種類。その上にラインアップ中で少々異彩を放つスポーツ性を高めたインタークーラーターボ搭載のNX350があるが、これにはトリムがF SPORTしか存在せず、いわゆる「走りグレード」になっている。駆動もAWDのみで、トルク配分も100:0から50:50と異なっており、要するに走らせ方の志向性がこのグレードだけ違うということだ。
これがNX350hになると250同様、2種の駆動方式と2種のトリムラインの4種展開となる。そして、最上位の450h+はFFモデル無しでAWD一択、トリムラインは2種類だ。ちなみに肝心のAWDは、フロントがエンジン+モーターによる134kW(182PS)/270N・m(27.5kgf・m)で、リヤは40kW(54PS)/121N・m(12.3kgf・m)の最大出力を持ち、トルクスプリットは当たり前だが電制でフロント100:リア0から前後20:80までの可変式となる。
なんて細かい話を珍しく書いたのだけれど、ITmedia ビジネスオンラインは、ビジネス媒体であるからして、媒体としていわゆるバイヤーズガイド的記事は望んでいないので、この記事の骨子はレクサスのブランド論が本題になる。なるのだが、試乗した以上、クルマの出来をそこに少し絡めて書いていくというややこしい作業がこれから始まる。
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