なぜ「IKEAのサメ」「コストコのクマ」が人気? 大人がこぞってぬいぐるみに熱中する理由(5/7 ページ)
家具関連の小売各社がぬいぐるみを販売し、人気を博している。また、ぬいぐるみを旅行に連れていくサービスや、ぬいぐるみ向けの病院も開院するなど関連市場が活況だ。少子化の今、なぜぬいぐるみに注目が集まっているのだろうか。
「大人消費」が玩具市場をけん引
市場規模が大きく、伸び率も高いのが「カードゲーム・トレーディングカード」分野です。22年度の全体構成比は24.7%で、売り上げは前年比132.2%。今やカードゲームは玩具市場の超主力部門なのです。
次いで「知育・教育」やフィギュアやガンプラ(ガンダムのプラモデル)などの「ホビー」が続きます。特にガンプラはかなりの人気で、筆者のクライアント先の店舗でも品薄状態が続いています。最近では2万〜3万円の高額なガンプラもよく売れています。
そしてカードゲーム、フィギュア、ガンプラは全て高校生以上の大人が支えています。だから市場が伸びているのです。一方、明らかに子ども向けの「ゲーム」「キャラクター」「ドール、ままごと」「雑貨」などは伸びていません。つまり、少子化で子ども向け玩具は低減傾向にあるのですが、大人も買える玩具がけん引する形で市場が伸びているのです。
この中で「ぬいぐるみ」は22年度の市場規模こそ約320億円と小さいですが、伸び率は113.1%と3番目の伸び率です。ぬいぐるみの伸びを支えているのも大人です。前述のIKEAやコストコ、ニトリの大きなぬいぐるみを購入している大半は大人の消費者で、SNSに投稿しているのも大人。今やぬいぐるみは子どもが楽しむものから、大人が楽しむものへと変化してきているのです。
2世代、3世代消費が増えている
日本玩具協会に話を聞いたところ、現在の玩具市場ではロングセラー商品の2世代、3世代消費の傾向があるそうです。例えばエポック社の玩具に「シルバニアファミリー」があります。女児に人気で、シルバニアで遊んだことのある女性は多いのではないでしょうか。
シルバニアファミリーの発売は1985年。国内外で人形の累計販売数は2億体超とされています。今、このシルバニアファミリーを持ち歩いて写真を撮りSNSに投稿する人が増えているようで「シル活」と呼ばれ、ブームになっています。
エポック社のデータによると、購入者の半分強が未就学児、3割弱が小学生ですが、2割程度は13歳以上とのこと。13歳以上の購入率はこの10年でおよそ5倍に増えているそうです(参考:日経MJ『シルバニア初の映画、ファン広がる 新キャラの人形販売』)。シル活は、こうした顧客の「高齢化」によって生まれた新しいシルバニアファミリーの楽しみ方といえるでしょう。
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