きっかけはパソナ 話題の店と有名シェフが淡路島に集結 「美食観光」ニーズが追い風に:長浜淳之介のトレンドアンテナ(6/6 ページ)
淡路島が「美食の島」として盛り上がりを見せている。きっかけはパソナグループが地元小学校をリノベした複合施設を2012年にオープンしたことだった。
パンケーキ店もリゾート感ある店舗で人気
最後に、「幸せのパンケーキ淡路島本店 淡路島テラス」は19年7月のオープン。「3時間待ちの店」「島の外れにあるのに200人が並ぶ」などと、TVのバラエティ番組で何度か放映されている。人気の理由は“ふわとろ”の生地やマルカハニーと発酵バターを使ったホイップバターといった、パンケーキの魅力だけではない。
敷地内には幸せの椅子・幸せの鐘・幸せの階段といった海を背景にした絶景のフォトスポットを配置。店内も全席がオーシャンビューとなっており、景観と料理が一体となった多幸感を演出している。
この他に本店は窯焼きピザやパスタなどのイタリアンも楽しめる「カフェ&レストラン」、土曜・日曜・祝日のみオープンする「プールサイドバー」、テークアウト専門店「スイーツテラス」と「フィナンシェファクトリー」と複数の店舗で構成されている。パンケーキの店としては国内最大規模で、ここまでリゾートに振り切った店は競合他社にないのではないか。なお、幸せのパンケーキは、15年7月に1号店を東京・表参道にオープン。順調に店舗数を伸ばし、国内24店、海外は香港に2店がある。
この他にも多くの外食企業やシェフが淡路島の魅力に気付き、出店している。古代の淡路島は「御食国(みけつくに)」と呼ばれ、朝廷に食材を貢いだほどの食の宝庫だった。現代に再定義された御食国・美食の島として、さらに発展する勢いは増すばかりだ。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。
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