ブランドを傷付けないために知るべき、ダイナミックプライシング「9つのポイント」(2/4 ページ)
消費者の価格に対する視線が厳しくなっている昨今、値下げしようにもなかなか取り組みにくい環境に企業が直面している。その中で注目を集めるのがダイナミックプライシングだ。今回の記事では、その注意点や効果を高めるための9つのポイントを解説する。
AIと「勘と経験」を戦わせているドン・キホーテ
ダイナミックプライシングとは、商品やサービスの価格を需要に応じて変動させる仕組みです。身近なダイナミックプライシングとしてイメージしやすいのが、ホテルや旅館の料金です。
今や1年中、どんなときも同じ価格という施設はまれです。競合の価格や繁忙期・閑散期に合わせて価格を変動させるのが常となりました。その価格設定を人が調べていては、正確性や効率性の観点で問題があります。そこで競合サイトの価格を自動抽出し、自社の基準と合わせて推奨価格を算出するダイナミックプライシングを導入する企業が増えています。
小売業では、ドン・キホーテのダイナミックプライシングが代表的です。ドン・キホーテは20年からAIプライシングを強化。AIの推奨価格と、現場スタッフの「勘と経験」で設定する価格で競うことを推進しています。その結果を検証し、どういうケースでAIが正しく、どういうケースで勘と経験が上回るのか、データを蓄積して精度を上げ続ける仕組みを作っています。
これを実践するのは簡単なことではありません。まず、店舗側に価格変動の権限移譲をする信頼と、実行する仕組みが必要になります。どの商品をどれくらい値下げすれば、利益がどれくらいになるか。そのシミュレーションをタイムリーにできる仕組みを、本社側が構築しなくてはなりません。そして、AIのデータだけを鵜呑みにせず、人の勘や経験でしか判断できない要素を大切にし、テクノロジーとの融合を図っていることがドン・キホーテの取り組みの素晴らしい点です。
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