優秀な若手がどんどん辞めていくが、「社内運動会」をやっても防げないワケ:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
パナソニックが若手社員約1200人を対象に実施した「社内運動会」が話題になっている。「組織間の交流」が目的だったが、若手社員の反応はどうだったかというと……。
なぜ最近の若手社員はすぐに辞めてしまうのか――。そんな風に頭を抱える人事担当者も多いのではないか。
HR総研が2023年10月25日〜11月1日、企業の人事責任者・担当者を対象に若手人材の離職について課題があるかをWebアンケートで聞いたところ、「課題感がある」「やや課題感がある」と回答したのは従業員数1001人以上の大企業で63%、同301〜1000人の中堅企業で81%にも上っている(有効回答数は222件)。
若手社員から「お世話になりました」と三くだり半を突き付けられないために企業は何をすべきか、というのはもはや日本経済の課題と言ってもいいだろう。
そんな中でちょっと前、「もしやこれが解決策では?」と人事担当者たちが色めき立つようなニュースがあった。「ホワイト企業」として知られるパナソニックが、「離職が多いとされる若い世代の定着にもつなげたい」として、「社内運動会」を催したのだ。
2月22日、東京・渋谷の国立代々木競技場で開催されたこの運動会は、入社5年目までの若手社員約1200人が全国の拠点から集った。もちろん、参加者はすべて出勤扱いで、勤務地から会場までの交通費などは全て会社負担だという。
では、なぜアップデートだ、働き方の多様性だという現代に、気合いと過重労働がビジネスモデルに組み込まれた昭和企業のイベントがゾンビのようによみがえったのか。若手社員から「交流の場がほしい」との要望が出たからだという。
同社は社内カンパニー制を導入してから「組織間の交流」が課題に上がっていた。入社5年目までの社員に行ったアンケートでは、「組織の壁を越えた協力体制について課題を感じる」と答えた人が44%に上り、いわゆる「コロナ入社組」の若手社員からも、在宅が多かったことで、相談できる人がいないなどの悩みが出ていた。
そこで、「社内運動会」を開催して、大玉転がしやらで組織の垣根を超えた交流をして、一気に距離をつめようじゃないかと計画したワケだ。
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