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優秀な若手がどんどん辞めていくが、「社内運動会」をやっても防げないワケスピン経済の歩き方(2/6 ページ)

パナソニックが若手社員約1200人を対象に実施した「社内運動会」が話題になっている。「組織間の交流」が目的だったが、若手社員の反応はどうだったかというと……。

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ノリに付いていけない若手社員

 「なるほど、確かに一理あるな。ウチも早速、社内運動会だ!」と感化される人事担当者もいらっしゃるかもしれない。ただ、パナソニックの取り組みにケチを付けるわけではないが、社内運動会では「若手の離職」を防ぐことはできない。交流を求めているということなので、運動会はそれなりに盛り上がるだろう。顔見知りも増えて、業務にプラスになるかもしれない。しかしその半面、昭和の「社員はみな家族」というノリに付いていけない若手社員たちの心はどんどん会社から離れていくはずだ。

 なぜそんなことが言えるのかというと、そもそも若手社員が会社を去っていくのは「自分の置かれている状況に満足をしていない」ことが圧倒的に多いからだ。

 リクルートマネジメントソリューションズが23年11月8日に公表した「新人・若手の早期離職に関する実態調査」(有効回答数:435人)によれば、入社3年目以下の新人・社員の退職理由で最も多いのは「労働環境・条件が良くない(労働時間、休日のとりやすさ)」(25.0%)。次いで「給与水準に満足できない」(18.4%)と、シビアな条件面の話が多い。これらの話に社内運動会が何の関係もないことは言うまでもない。


新人・若手社員の退職理由(出典:リクルートマネジメントソリューションズ)

仕事を辞めたいと思った理由(出典:リクルートマネジメントソリューションズ)

 また、若手社員が抱く会社への不満として最近よく聞く「スキルアップできずに成長が実感できない」に対しても社内運動会は「逆効果」だ。

 いわゆる「大企業病」に陥ったホワイト企業のぬるま湯的な環境を嫌がるような、“意識高い系若手社員”からすれば、「世代を超えた交流」「若い世代の離職防止」なんて話ははっきり言ってどうでもいい。「どこの会社に行っても通用するようなスキル」を身に付けられるイベントならば喜ぶかもしれないが、「交流」を目的とした社内運動会に強制参加となれば「やっぱり長くいるところじゃねえな」と感じる若手も多いはずだ。

 「な、なぜそんなことが分かる! 社内運動会で一致団結して成果を出すことで、若手社員が成長を実感できるかもしれないじゃないか!」と反論する人もいらっしゃるだろうが、残念ながらそれはハナから無理な話だ。

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