優秀な若手がどんどん辞めていくが、「社内運動会」をやっても防げないワケ:スピン経済の歩き方(3/6 ページ)
パナソニックが若手社員約1200人を対象に実施した「社内運動会」が話題になっている。「組織間の交流」が目的だったが、若手社員の反応はどうだったかというと……。
そもそも「社内運動会」とは
「社内運動会」は、もともと軍隊的な組織が「個人」に対して「服従」と「規律順守」を教え込むために生まれたものであって、個人が成長を実感するなんて話と対極に位置するものだ。
多くの日本人は「運動会」というくらいなので、このイベントが教育現場で生まれたと勝手に勘違いをしているが、そうではなくて、軍隊の新兵教育の一環だった。
1874年(明治7年)、海軍士官養成所である海軍兵学寮で顧問団団長を務めていた英国人のアーチボルド・ルシアス・ダグラス氏が日々、厳しい訓練に打ち込む士官候補生の「ガス抜き」として、スポーツ競技を通じて気分転換につながるイベント「競闘遊戯会」を開催した。これが日本における運動会のルーツとされている。
ご存じのように、軍隊組織は「上官の命令は絶対」「規律順守」「滅私奉公」が徹底的にたたき込まれる。ダイバーシティとか「個の尊重」などと言っていたら、軍事作戦は行えない。ただ、そういう厳しい訓練だけだと、兵士のメンタルが壊れてしまう。そこで世界の軍隊では、スポーツや余興などを用いて新人に「軍のルールを楽しく学ばせる」という取り組みが行われてきた。近代日本では、それが「運動会」だったワケだ。
ちなみに、日本の運動会のルーツにはもう1つの説がある。68年、幕府の横須賀製鉄所に招聘(しょうへい)されていたフランス人技術者たちが、日本人技術者との親睦目的で企画した「企業運動会」が最初というのだ。
ただ、このフランス人技術者たちを仕切っていたフランソワ・レオンス・ヴェルニー氏はもともと海軍技術者で、来日するまで軍艦を山ほどつくっていた人だ。どちらの説にせよ、日本の運動会は「軍隊」が関わっていることは動かし難い事実なのだ。
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