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都会の限界集落「都営桐ケ丘団地」は今 かつて「マンモス団地」と呼ばれた(2/3 ページ)

人口の50%以上を65歳以上が占める「限界集落」と化す事例が地方だけでなく、東京都内にも広がり始めている。高度経済成長期に建設された集合住宅で、半世紀以上の時を経て高齢化が進行。建設当時は若い住民や子供の笑い声であふれた団地も、住民の高齢化や施設の老朽化、店舗の撤退などにより、社会生活の維持が困難になる場合があるという。そんな団地の一つ、都営桐ケ丘団地(東京都北区)を訪ねた。

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産経新聞

買い物難民の時代

 それから半世紀以上を経た現在。都や北区などによると、全体の2割が空き家となり、残る住民も6割が65歳以上の高齢者となった。

 団地の中央には、昭和の香りを残した万国旗のたなびく商店街。平日の昼間にもかかわらず、多くの店がシャッターを下ろしていた。

 店舗の減少を受けて、団地では「何でも買える」時代はとうに去り、いまや「買い物難民」が問題になっている。

 年をとって足腰の弱った住民にとって、広大な団地の外にあるスーパーなどへの移動は、大きな負担だ。

 団地外への移動だけでなく、団地内の移動でも一部の棟にエレベーターがないことが住民の不満の種になっている。実際、最近は団地を去る住民も少なくないという。

 それでも、多くの住民を団地にとどめているのは、人とのつながりだ。

 各部屋に風呂がなかった頃、小さい子供が一人で銭湯に行く風景は日常だった。「団地の誰かが面倒を見てくれるから不安はなかった」と住民の女性。

 女性は「今でも毎週火曜日は住民合同で体操をするなど、入居者同士のつながりは残っている」と話す。

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