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競合の業績は堅調なのに…… スノーピークがアウトドア市場で大きく落ち込んでしまった理由(1/3 ページ)

スノーピークが苦境に立っている。コロナ禍以前からアウトドアニーズの増大を背景に成長してきたが、23年度は売り上げは前年比で減少。最終利益にいたっては99.9%減となっている。アウトドア市場は堅調なのに、なぜなのか。

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 スノーピークの2023年度売上高は、約257億円と前年比で16.4%の落ち込みを見せた。営業利益は74.3%減の約9億円、最終利益に至っては99.9%以上も減少し、わずか100万円となった。

 コロナ禍ではアウトドアブームに乗って人気を博していたスノーピークだが、急に客が離れてしまったようだ。一方でアウトドア市場自体は堅調に推移しており、他アウトドア関連企業の業績も著しく悪化はしていない。アフターコロナでスノーピークが“敗者”となってしまった理由を探っていく。


一気に業績が悪化したスノーピーク(出所:同社公式Webサイト)

コロナ禍前の5年で売り上げは2倍以上に

 スノーピークは1958年に創業した金物問屋をルーツとする。創業者は登山を趣味としていたが、当時の登山用品に不満を持ち、翌59年に登山用品の製造販売を開始した。63年には「スノーピーク」を商標登録。88年には当時一部でブームとなっていたオートキャンプ用品の販売を開始した。

 スノーピークの存在が一般にも知られるようになったのは、2000年代に入ってからだ。それまでは卸売をメインとしていたが、03年に初の直営店を出店。13年には東京・丸の内や横浜に出店し、高価格帯のアウトドアブランドとして認識されるようになった。

 ちなみに、スノーピークは一部を除くほぼ全ての商品を他社で生産し、自社では製品開発と直販、卸売を担っている。テントは数万〜十数万円台が基本で、コート類も5万〜6万円台が多く強気な価格設定だが、ユーザー目線で開発した商品は確かに品質が高く、価格と品質でブランド力を築き上げてきた。


スノーピークのテント「エントリーパックTT」。価格は5万4780円(出所:同前)

21万7800円の「ドックドーム Pro.6 アイボリー」(出所:同前)

 “アウトドア版無印良品”ともいえるシンプルなデザインも、消費者に受けた一因であろう。14年12月期、19年12月期における売上高はそれぞれ約55億円、約142億円と、コロナ禍前の5年間で売り上げは2倍以上に拡大していた。

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