調査リポート
新電力会社の撤退・倒産数が2年前の7倍に急増 大手の5月値上げが分岐点に(2/2 ページ)
帝国データバンクによる「新電力会社」(登録小売電気事業者)についての調査で、2024年3月時点で「撤退」もしくは「倒産・廃業」した新電力会社は119社にのぼることが分かった。
変動要因は4月以降も発生
一方政府は、安定的な電力の供給力を確保するため、「容量市場」という新しい市場を導入した。同市場は将来の電力の供給力を取引するもので、4年後に使われる見込みの需要を試算し、その需要を満たすために必要な容量を決定するものだ。新電力会社は未来の電力調達のために、4月から市場管理者である電力広域的運営推進機関(OCCTO)に「容量拠出金」を支払う必要があり、そのため料金が実質値上げになることも一部新電力会社で公表が始まっている。
さらに3月19日には、再生可能エネルギー普及を目的として電気料金に上乗せされている「再エネ賦課金」の2年ぶりの引き上げを背景に、大手電力会社10社が5月から値上げする見通しであることも報じられた。
帝国データバンクは「新電力会社は、大手電力より割安な料金設定で顧客の囲い込みをしてきたが、課される各種支払いによっては値上げも考えられる状況にあり、安定した顧客獲得や収益向上に課題を残し、今後の経営への影響が懸念される」と話した。
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