ラーメン店の倒産が相次いでいる。東京商工リサーチが調査結果を発表し、2023年度(23年4月〜24年3月)に負債1000万円以上の倒産が63件あったと分かった。これまで最多だった13年度(42件)と比較して1.5倍の増加となった。
倒産原因で最も多かったのは「販売不振」で52件。「既往のシワ寄せ(赤字累積)」(4件)と合わせて「不況型倒産」は56件にのぼり、全体のうち約9割を占めた。形態別の最多は「破産」で58件だった。「特別清算」(1件)と合わせた「消滅型倒産」は59件、一方の「再建型倒産」は4件だった。
資本金別に見ると「100万円以上500万円未満」が27件で最多。負債額別では「1000万円以上5000万円未満」が43件で最多だった。「5000万円以上1億円未満」は22年度比で7.5倍の15件と、複数店舗を運営する企業にも倒産が広がっている。従業員数別の最多は「5人未満」。50人以上の大型倒産は、22年度と同様に発生しなかった。
ラーメン店は小規模での開業が可能で、初期の設備投資を抑えられることから他の専門料理店より参入障壁が低い。一方で同業や他の飲食業との競合が激しく、約半分が出店後1年以内に閉店するといわれている。
コロナ禍が落ち着いた22年以降は、円安やウクライナ情勢などを背景に原材料価格や光熱費、人件費の高騰により、急激なコスト上昇に見舞われている。ラーメンは「国民食」ともいわれるだけに、他店と味や価格を比較されやすく、いわゆる「1000円の壁」に象徴されるプライシングも重要になっている。
東京商工リサーチは「インバウンドの増加もあり潮流は変化しているが、コスト高をカバーする魅力を提供できないラーメン店が生き残ることは難しい時代に突入している」とコメントした。
関連記事
- クセになるスープがドライバーを魅了! 「ラーメン山岡家」がコロナ禍明けで一気に成長できたワケ
ラーメンチェーン「ラーメン山岡家」の成長が著しい。他のラーメン店とは一線を画す運営方針も影響しているとみられる。あらためて、コロナ明けに絶好調の要因を探っていく。 - 「3年以内の閉店」が多い飲食業態 「ラーメン」「カフェ」を抑えた1位は?
「飲食店ドットコム」を運営するシンクロ・フードは、閉店した飲食店の業態と営業年数に関する調査を実施した。その結果、3年以内の閉店が最も多い業態は「お弁当・総菜・デリ」だった。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.