Sansan「30%値上げ」 顧客単価の“頭打ち”脱却なるか:業績好調だが……(1/3 ページ)
業績好調のSansan。インボイス管理サービスなどが堅調に推移しているが、顧客単価の「頭打ち」感の足音も迫る。どう打開するか。
Sansanが発表した2024年5月期第3四半期(12〜2月)の決算は、売り上げ、利益ともに好調に推移した。第3四半期までの累計で、売上高は前年同期比で33.3%増の242億3400万円となった。中でも業績の牽引(けんいん)役となっているのが、インボイス管理サービスの「Bill One」だ。
SaaS企業分析メディア「Next SaaS Media Primary」のアナリスト、早船明夫氏は「全社のARRが300億円の大台を突破し、成長率も昨年の20%台から、再び前年同期比33.4%増まで伸ばすなど再加速が見られる。要因はひとえに、国内SaaS史上最速で伸びているBill Oneが、前年同期比149%という驚異的な成長を続けていることだ」と分析する。
20年5月にスタートしたBill Oneは、コロナ禍による経理のデジタル化のニーズと、インボイス制度という法令改正の後押しもあって、急速に成長した。毎四半期ごとに導入企業は増加し、直近第3四半期のストック型売上高は16億8000万円にも達している。これまでの年平均成長率は約383%、毎年4.8倍のペースで成長してきた形だ。
Bill Oneの売上高比率は全体の18%まで拡大してきており、ますますSansan内における重要性が高まってきている。インボイス制度が23年10月にスタートし、その反動での成長率鈍化も懸念されたが「インボイス制度開始後も大きな反動影響はなく、新規契約の獲得も順調に進んだ」(橋本宗之CFO)と、堅調だ。今期、5月末にARR(定常収益)75億円を目標として掲げているが、第3四半期終了時点で68億円まで達した。
ARRは顧客数と顧客単価(ARPU)の掛け算で決まるが、いずれも好調だ。契約件数は対前年比100.5%増、ストック売上の顧客単価は23.9%増となっている。さらに解約率も0.33%と過去最低水準となっており、顧客に根付いていることが分かる。
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