待ち時間の解消だけではない、レジなし店舗「Amazon Go」の真の狙いとは?:がっかりしないDX 小売業の新時代(3/3 ページ)
Amazonがスーパーマーケット「Amazon Fresh」に採用するレジなし決済システム「Just Walk Out」をAIレジカート 「Dash Cart」に置き換えるとの報道が話題に。Amazonの真の狙いとは――。
「レジ待ち」の不満解消だけではない、Amazon Goの存在意義とは
連載第9回「レジ待ちの不満が『稼ぐ機会』に? 米小売大手が実践する面白い工夫」で紹介したように、レジは待ち時間や店員の対応など、顧客の不満が最も発生しやすい場所でもあります。
「レジで長時間待たされた」という時間のロスへの不満、「私より後に並んだ人を先に会計した」という不公平感、「店員の釣り銭の渡し方が……」「店員のあいさつがない」という接遇への不満、「カゴへの詰め方が……」という配慮不足への不満。
「Amazon Goが生まれた理由」の一つは、顧客不満をなくすことにあると筆者は考えています。
そもそもレジがないので時間のロスは発生せず、並ぶことにより発生する不公平感もありません。レジ待ち客が増えること、レジ不満を持つ客にクレームをつけられることがないので、店員は普通の店舗よりもフレンドリーな方が多いです。
Amazon Goが生まれたもう一つの理由は、オンライン通販のAmazon.comアカウントで入店(普段使っているAmazonアプリだけでJust Walk Outは使えます)するため、オフラインでの顧客行動データが取れるということです。
これにより、同一アカウントでのオンラインとオフラインの購買商品のギャップや、オンラインではリピート購入が多いが実店舗ではトライアル購入が多い――といった、オンラインとオフライン双方の買い物行動がデータ化できるようになります。これをパーソナライズに利用することが可能になります。
オンライン中心に小売業を展開してきたAmazonがオフライン顧客行動の最適化に取り組む挑戦こそが、Amazon GoとJust Walk Outの本質なのだと筆者は考えます。
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