「THE MATCHの視聴数を超える」 RIZIN榊原CEO、「朝倉未来VS.平本蓮」への期待を語る
RIZINの榊原信行CEOが、ITmedia ビジネスオンラインの単独インタビューに応じ「朝倉未来と平本蓮が闘う『Yogibo presents 超RIZIN.3』(7月28日開催)で、THE MATCH 2022の視聴者数を超えたい」と話した。
4月29日に東京・有明アリーナで開催される格闘技イベント「Yogibo presents RIZIN.46」を前に、同イベントを主催するドリームファクトリーワールドワイド(東京都港区)の榊原信行CEO(榊は正確にはきへんに神)が、ITmedia ビジネスオンラインの単独インタビューに応じた。
格闘技ビジネスで大きな話題となったのが、2022年6月に東京ドームで5万6399人を動員し、武尊と那須川天心が激突した「Yogibo presents THE MATCH 2022」だ。ABEMAペイ・パー・ビュー(PPV、有料コンテンツに料金を支払って視聴するシステム)の売り上げは50万件を突破し、日本の興行史に残る記録となっている。
榊原CEOはインタビューの中で「朝倉未来と平本蓮が闘う『Yogibo presents 超RIZIN.3』(7月28日開催)では、THE MATCH 2022の視聴者数を超えたい」と話した。
榊原CEOは「朝倉未来と平本蓮が闘う『Yogibo presents 超RIZIN.3』では、THE MATCH 2022の視聴者数を超えたい」と話した(ドリームファクトリーワールドワイドのWebサイトより)
「(2023年の大みそかの)『にゃんこ大戦争 presents RIZIN.45』のPPVの視聴数は30万件を超え、最近でも平均で10万件を超える規模になってきている。確かに日本で50万件見られるのはすごいこと。ただ世界で戦っていくためには100万件、200万件見てもらえる市場を作っていかないといけない」(榊原CEO)
RIZIN.46では「鈴木千裕VS.金原正徳」のフェザー級タイトルマッチが開催される。ABEMA、U-NEXT、スカパー!、RIZIN 100 CLUB、RIZIN LIVEといった各プラットフォームが生中継する予定だ。PPVを含めた今後のビジネス展望を聞いた。
榊原信行(さかきばら のぶゆき) RIZIN FIGHTING FEDERATION CEO、株式会社ドリームファクトリーワールドワイド代表取締役社長。大学卒業後、東海テレビ事業株式会社に入社。「K-1 LEGEND 〜乱〜」や「UWFインターナショナル名古屋大会」などのイベントをプロデュースする。1997年には「PRIDE.1」を開催し、成功に導く。2003年にはPRIDEを運営するDSEの代表取締役に就任。07年に売却するまで、「PRIDE」の躍進に大きく貢献する。08年には「FC琉球」のオーナーとなり自ら経営に携わり、09〜13年にかけてはJFL(日本フットボールリーグ)の理事にも就任。15年に自ら実行委員長として「RIZIN FIGHTING FEDERATION」を立ち上げる。近著に『負ける勇気を持って勝ちに行け! 雷神の言霊』(KADOKAWA)(撮影:鳥井大吾)
PPVは平均で10万超え 大みそかは30万を記録
――RIZINも9年目になり、PPVを始め日本の格闘技ビジネスの在り方を変えてきた自負をお持ちかと思います。今後の課題をどう考えていますか?
「日本発で世界に通用するコンテンツ」をもっと積極的に生み出していきたいと考えています。例えばワールドクラスの選手をRIZINに呼んでくるとか、自分たちの大会を海外の視聴者に届けていくことも必要ですね。今はネットによってこれだけ日本と世界がつながっていますから「日本でとんでもないやつが今度試合するみたいだよ」「あんなスーパースターが日本のRIZINに出るんだよ」という世界中の人の「まさか」を作っていければいいなと考えています。
よく「格闘技はサプライズが大事」と言いますが、結局は本当にその「まさか」をどれだけ作れるかが、僕らのビジネスの肝なのです。 いい意味でも悪い意味でも予想外のことが起きると、皆さんは一気に飛びつきます。その一方で、想定内のことにはもう全く反応しないんです。だからサプライズをどれだけ作れるかが重要なのです。
選手の体重超過の問題や事故、トラブルなど……。そうしたことをうまく受け止めて、どうプラスに変えるか。少しでもお客さんの理解を得ながら、 興味をそそるものにリメークするか。これが生物(なまもの)を扱う僕らの料理のしどころなんです。
――RIZIN.46では、その「まさか」を作れそうですか?
そういう意味で言うと、今回は金原と鈴木のタイトルマッチは目玉になります。それ以外にも、これも世界戦略の1つとしてなのですが、3試合の「日韓対抗戦」を設けました。国別対抗戦になると、視聴者が一気に「国対国」ということを意識し出すんですよね。だから韓国の選手と、日本の選手が単純にワンマッチで試合をするということだけではなくて、互いに国の威信をかけてチーム戦にする。すると一気に面白くなるんです。実はこれは他の競技でも一緒なのです。
また今回は初めて篠塚辰樹戦で「ベア・ナックル・ファイティング・チャンピオンシップ」という、米国で2018年にスタートして大人気になっている団体のルールを採用しました。 ミャンマーの国技である立ち技格闘技「ラウェイ」ではバンテージだけを巻いて闘うのですが、ベア・ナックル・ファイティング・チャンピオンシップでは拳に何も巻かない状態で、本当にベア(素手)のナックル同士で殴り合うのです。これは、日本の人たちはまだ見たことがないんですよ。これも「まさか」の一つにはなるかと。
今回も、全体的にバランス良くマッチアップできた気がしています。「これだけのものが見られるんだ」という試合を提供できると思います。僕は適正な試合数としては、今回のように10試合ぐらいが妥当だと思っています。リングスポーツで聴衆が集中して楽しんで見られるのは2時間半までです。それを超えてくると、もうどんなにいいものを提供しても、集中し続けるのが難しくなってきます。
2002年に国立競技場で9万人を集めた格闘技の祭典「Dynamite!」(ダイナマイト)は、なんと8試合だけでした。少なかったですが、それでも伝説になりました。誰一人「試合数が少ない」と不満を言わないんですよ。皆が真剣に固唾を飲んで集中して見ていたんです。
――PPVの売れ行きも好調ですか?
はい。今年度はPPVのアベレージで、僕らがどのぐらいの数字を取れるかが課題です。現在は、どの大会も10万を超えてきています。その中で大みそかや「朝倉未来VS.平本蓮」の試合が開催される7月の超RIZIN.3で「THE MATCH 2022」の視聴数を超えたいと思っています。50万とか60万っていう数字が目標になっていけばいいかなと。実際に2023年の大みそかのRIZIN.45では30万件を超えています。
ただ、これは世界のプロモーションと渡り合うための始まりにすぎません。確かに日本で50万件見られるのはすごいことです。ただ世界で戦っていくためには100万件、200万件見てもらえる市場を作っていかないといけない。そこが今後の課題ですね。世界最大の格闘技団体で、年商規模は2000億円に迫る「UFC」が視界に入るぐらいまで、われわれも近づいていきたいなと考えています。
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